オープンイノベーション

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ロボットやAIの利活用による産業の効率化や、サイバー空間を活用した都市やインフラのメンテナンス。来るべき時代、AIによる自動化や効率化が求められています。
ニコンでは、既存事業と親和性の高い「見る」「測る」「伝達する」側面から協業するパートナーを選択。社会課題を解決するための手段の一つとして、外部リソースを積極的に活用するオープンイノベーションを取り入れています。
例えば、M&Aや外部団体、外部企業との連携などのアライアンス、ベンチャー企業へ出資するためのプライベートファンドの設立、共に未来に挑戦する社外のイノベーターとの協働、新規事業の推進と育成、ベンチャーキャピタル(VC)とのコラボレーションなどを実施。さまざまな取り組みを通じて将来のビジネスへの種を蒔き、新製品の開発や新事業の立ち上げのスピードを加速しています。

アライアンス

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大学や他企業、外部団体など、社外との業務や資本の提携、共同研究、M&Aによる子会社化などのさまざまなアライアンスを構築。自社の技術だけでは足りない部分を補い、既存事業領域の周辺分野への進出や新規事業の獲得など、事業領域と事業規模の拡大を図っています。近年では、新規事業の柱として位置付けている材料加工事業において、新たな業務提携を行うことで、新しい装置の開発や販売機会の拡大などを積極的に推進しています。

フランスのUnistellar SASへの出資

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ニコンは、デジタル天体望遠鏡を手掛けるフランスのUnistellar SAS(以下「ユニステラ」)へ、Nikon-SBI Innovation Fundを介して、出資を実施しました。ニコンとユニステラは既に共同開発基本契約のもと、コンシューマー向け天体観測分野における革新的なソリューション提供に向けて取り組み、ユニステラよりデジタル天体望遠鏡「eVscope 2」を発売しています。今回、両社の事業シナジー創出を促進させるために、出資を実施しました。
ニコンは光学技術と知見を生かし、成長著しいユニステラとともに、今後も人々に天体観測による感動を届け、宇宙への興味や関心を高めることで、科学の発展に貢献することをめざしていきます。

JAL、JAXA、オーウエル、ニコン 世界初、塗膜にリブレット形状を施工した
航空機で飛行実証試験を実施

日本航空株式会社(以下「JAL」)、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)、オーウエル株式会社(以下「オーウエル」)、ニコンは、航空機の燃費改善によるCO2排出量削減を目指し、世界で初めて※1機体外板の塗膜上にリブレット※2を施工した航空機による飛行実証試験を進めています。1500時間に及ぶ飛行実証試験を通じて、加工部の耐久性確認や関連データ取得を行い、実用化に向けた技術開発をさらに推し進めます。
ニコンは、リブレット加工技術を活かした事業開拓を進め、燃費改善やCO2排出量削減などを通じ、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

  • ※12023年2月28日時点で発表済みの航空機において。JAL、JAXA、オーウエル、ニコン調べ。
  • ※2リブレット:サメ肌形状によって水の抵抗が軽減されることにヒントを得て考案された微細な溝構造。航空機の飛行時の空気の流れに沿って機体外板に微細な溝構造を形成することで、飛行時の抵抗を軽減することができる。

ドイツ SLM 社の連結子会社化

ニコンは、SLM Solutions Group AG(以下「SLM 社」)を連結子会社化しました。SLM社は、金属アディティブマニュファクチャリング(以下「金属 AM」)における統合ソリューションをグローバルで提供する世界有数の専業会社です。当社はSLM 社と共に、 世界の様々な業界の顧客にスピード感をもって革新的なソリューションを提供し、金属AMの分野における世界的リーディング・プレイヤーを目指していきます。また、デジタルマニュファクチャリング事業を戦略事業と位置付ける現行中期経営計画の一層の推進に取り組みます。

ANAが「ANA Green Jet特別塗装機」にニコンのリブレットフィルムを試験装着し運航

ニコンは、航空機の燃費改善やCO2排出量削減に寄与する、リブレット加工※1を施したフィルムを全日本空輸株式会社(以下「ANA」)に提供します。ANAは、リブレットフィルムを試験装着した航空機を運航し、ANAとニコンは技術検証や、装着箇所の耐久性確認、関連データの取得などを行います。リブレットフィルムを機体表面に試験装着した航空機を運航するのは、日本の航空会社としてANAが初めて※2です。リブレットフィルムを試験装着した航空機の運航、技術検証を通じ、装着箇所の耐久性確認や関連データを取得し、実用化に向けた技術開発をさらに進めていく予定です。
ニコンは、リブレット加工技術を活かした事業開拓を進め、燃費改善やCO2排出量削減などを通じ、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

  • ※1リブレット加工:レーザーと微細加工技術を組み合わせ、流体と接触する面にサメの肌を模した形状を形成する加工。これにより、液体や気体の不規則な流れによる摩擦抵抗を低減し、エネルギー効率を向上させることが可能。
  • ※22022年10月3日時点で発表済みの航空機において。ANA調べ。

英国Oxford Nanopore Technologies Limitedとの協業に関する覚書の締結

ニコンとOxford Nanopore Technologies Limited(以下「オックスフォード・ナノポア社」)は、技術的な協業をはじめとする覚書を締結しました。ニコンにおいてヘルスケア事業は、中核事業の一つであり、ニコンの持つ高度な顕微鏡ソリューションとオックスフォード・ナノポア社のDNAやRNAの解読技術を組み合わせ、科学研究や臨床現場へ展開していこうと考えています。両社の培ってきた技術を活用し、ヘルスケア領域に新たな可能性をもたらします。

米国Morf3D Inc.に出資、子会社化

ニコンは、Morf3D Inc.(以下「モーフ3D社」)の株式の過半数を取得し、子会社化しました。モーフ3D社は、宇宙航空機関連部品の受託生産において全米トップクラスの企業です。中期経営計画において注力する成長領域の一つに「材料加工事業」を掲げているニコンは、モーフ3D社が保有する事業基盤や顧客基盤と、ニコンの光加工機をはじめとする精密加工技術を組み合わせることで「材料加工事業」の拡大を目指します。

大学、企業、外部団体等との連携

ニコンでは、社外との連携を積極的に進めています。例えば、再生医療関連では京都大学iPS細胞研究所との共同研究や、複数企業が参加する「スマート・セル・プロセシング」プロジェクトへの参画などに取り組んでいます。

東京大学 生産技術研究所に「ニコン 光・精密フロンティア寄付研究部門」が開設

ニコンの寄附により、東京大学 生産技術研究所(所長:岡部 徹、東京都目黒区)は、「ニコン 光・精密フロンティア寄付研究部門※1」を2023年4月1日に開設しました。
次世代の光学産業をリードする人材の育成に貢献するとともに、将来的に社会が求める価値を生み出すため、社会実装につながりうる研究テーマの創出をめざします。

光学産業は日本が極めて強い分野ですが、技術革新のスピードに加え、新興諸国の参入もあって、世界レベルで高い競争力を維持していくことは容易ではなくなっています。また、最先端の研究・技術は高度で多岐にわたり、大学の光科学研究と産業界の光学技術との間の隔たりが指摘されるようになりました。このような背景のもと、ニコンによる寄付研究部門は、2006年から東京大学 生産技術研究所に設置され、産業に直結する光学教育を実施し、人材の育成を推進してきました。
今回、これまでの寄付研究部門に代わり、新設する「ニコン 光・精密フロンティア寄付研究部門」では、従来の特長ある講義を継続して実施し、人材の育成を図ることに加え、研究テーマの創出に新たに取り組みます。
多様化する社会課題に対して、技術を複合的に組み合わせて新たな価値を創出し、社会実装していくことが求められています。そこで、東京大学 生産技術研究所の持つ幅広い知見をもとに、ニコンが培ってきた光利用技術および精密技術と他分野の技術との融合を推進します。そして、将来的に社会が求める価値を産学連携で模索し、新たな研究テーマを創出します。

  1. ※1 寄付研究部門:東京大学における教育研究の進展及び充実を目的とし、学術に関する社会的要請その他の諸条件の変化への対応並びに教育研究体制における流動化、国際化、学際化及び公開化の推進に配慮して、個人または団体の寄附による基金をもってその基礎的経費を賄うものとして設置される研究部門。
    詳細は、東京大学のウェブサイトをご覧ください。
    https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/research/orgs-projects/d04_05.html

「大阪大学・ニコンイメージングセンター」

2020年10月1日にニコンと国立大学法人大阪大学(以下「大阪大学」)は、大阪大学のキャンパス内に「ニコンイメージングセンター」を開設しました。最先端の光学顕微鏡の利用や画像解析技術の向上を目的とした教育プログラムの提供、研究者間の共同研究の推進など、オープンファシリティとして幅広い分野の研究者をサポートしています。ニコンイメージングセンターの開設は本施設が10番目ですが、今回初めて、in vivoイメージング(生体内の生命現象をリアルタイムで捉える顕微鏡イメージング手法の一つ)が主体となっています。ニコン製品を活用した研究の支援を通じて科学技術の発展に貢献していきたいと考えています。

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プライベートファンド

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ベンチャー企業に投資するためのプライベートファンドを、2016年7月にSBIインベストメント株式会社と設立し、中長期計画における新事業創出と育成の推進、事業シナジーを実現すべく投資活動を継続しています。
対象をニコンの既存事業だけでなく新規分野にまで拡大して、日本および北米を中心に、欧州、アジア地域など、広い視野でニコンと共に将来のストーリーを描ける可能性のあるベンチャー企業への投資を進めています。

SBIインベストメントとコーポレートベンチャーキャピタルファンド2号を共同設立

ニコンはSBIホールディングス株式会社(社長:北尾 吉孝、東京都港区)の100%子会社であるSBIインベストメント株式会社(社長:北尾 吉孝、東京都港区、以下SBIインベストメント)と共同で、ニコンの中期経営計画の先を見据えた新たな分野として航空宇宙、エネルギー、カーボンニュートラルなどの最新技術・サービスを投資対象とするコーポレートベンチャーキャピタルファンド「Nikon-SBI Innovation Fund Ⅱ」を11月1日に設立しました。ファンド規模は50億円、運用期間は今後7年間を予定しています。

ニコンは、ベンチャー企業との協業を模索したり、社員出向を通した人材育成も積極的に行っています。ベンチャー企業が有する最先端技術やビジネスモデルなどを取り入れるとともに、新規事業創出と育成の推進、事業シナジーの実現を目指していきます。

Nikon SBI Innovation Fund

事業領域
ヘルスケア、光学コンポーネント、デジタルマニュファクチャリング領域のソリューションに繋がる技術
分野
  • 材料加工
  • センシング
  • AI・画像処理
  • IoT
  • ヘルスケア
  • 光学
  • ビジョンシステム/ロボット
  • デジタルマニュファクチャリング
  • 航空宇宙
  • エネルギー
  • カーボンニュートラル
  • スマートシティ
出資状況(2016年7月~2023年9月末時点)
  • 国内外スタートアップへの出資(新規投資:21社、追加出資:8件、検討中:数社)
  • 海外ディールを幅広く探索・アクセラレートしている500 Startups Japanに出資
  • 受入部門が主体となり、投資先との事業シナジーを検討しながら次期ラウンドの追加出資や事業発展を検討中

ポートフォリオ

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ベンチャーキャピタルとの協業

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新規事業の拡大に向けて、日欧米の複数のVCに出資。各VCからは多くのディール情報やトレンド情報を提供いただくとともに、定期的なミーティングで情報を交換。ベンチャービジネスの調査・比較、対象会社の事業調査や将来価値の推測算定など幅広いサポートを得ています。

新規事業創出活動

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ニコンでは、高い技術力や有望なビジネスプランを持ち、世界に向けてイノベーションを起こす意欲のあるベンチャー企業との協業、世の中に価値を問いながら将来の事業につながるビジネスアイデアの実現に向けた活動支援、そして出資したベンチャー企業への出向を通じての人材育成を積極的に行っています。そして自社だけの成長にとどまらず、未来に向けた新技術の探索、常に変化する社会への貢献や価値の提供、オープンイノベーションを通じて新規事業の創出を推進しています。

関連トピックス