トップメッセージ

代表取締役 兼 社長執行役員 馬立 稔和

明るい未来への貢献をめざして

事業を通じた社会への貢献

2021年3月期は、持続的に企業価値を向上させる成長基盤の構築を目標とする中期経営計画の中間の年でした。コロナ禍で事業活動に大きな制約が生じる中、従業員とその家族、お客様、お取引先や事業所近隣の皆様の健康を優先しつつ、日々変化する状況に機動的に対応しながら事業を運営してきました。
こうした状況の中で、成長基盤構築については着実に進展しています。長期成長領域である「デジタルマニュファクチャリング」の材料加工事業においては、さまざまな分野でのエネルギー効率の向上やCO2削減が期待できる技術が事業化に向けて進んでいます。また、「ビジョンシステム/ロボット」でも、ニューノーマルによって加速するDX(デジタルトランスフォーメーション)や自動化のニーズに対応するソリューション開発が進んでいます。
私は経営の重点を"イノベーション""プロフィタビリティ""サステナビリティ"の3つに置いています。その中のサステナビリティにはふたつの重要な側面があると考えています。ひとつは事業成長のための「判断基準」という側面です。
会社が持続的に成長するためには、「こうありたい」という未来を描き、そこから逆算して取り組むべきことを考える必要があります。そしてその中でニコンが挑戦することで、社会がもっと明るく、希望を持てるものとなるようなソリューションを見つけ、事業化していくことが不可欠です。SDGsをはじめとしたサステナビリティが、事業の方向性を考える起点であり、判断基準でもあるのです。
この考えのもと、新規および既存双方の事業において、CO2の削減や人々の健康の維持・促進といった社会課題の解決・改善に貢献する技術開発やプロジェクトの事業化をしっかり進めていきます。

ニコンのCSR重点課題

サステナビリティのもうひとつの重要な側面は、企業経営の「基本条件」という側面です。企業は社会の一員であり、万が一、社会や環境の持続可能性を阻害するような事態が生じると、事業の継続は難しくなります。
こうしたサステナビリティのふたつの側面を踏まえ、ニコングループでは、企業の社会的責任を果たしながら事業活動を行っていくために、2021年1月に社会や事業環境の変化を踏まえて「CSR重点課題」を見直し、新たに4分野の12課題を特定し、さまざまな施策を進めています。
環境面では、パリ協定のいわゆる1.5℃目標に沿って、ニコングループの事業所内における温室効果ガスの排出量削減目標を大きく引き上げ、SBT(Science Based Targets)より認定を受けました。そして2021年2月には、使用電力すべてを再生可能エネルギーで調達することをめざす国際的イニシアチブ「RE100」に加盟しました。
人権については、特にグローバルに事業を展開するニコングループにとって、重要な経営課題となっていることを実感しています。人権に配慮した事業活動を行うためには、従業員の意識啓発がまず重要と考え、私から社内報などを通じてメッセージを発信しています。継続的な啓発や教育を実施するとともに、「ニコン人権方針」に沿って、ニコングループの人権リスクの把握と、発見された課題の解決や改善に引き続き取り組んでいきます。
サプライチェーン管理の強化については、責任ある調達の面からも、事業継続の面からも重要性を認識しています。調達パートナーにご協力いただき、調達先の情報を一元的に登録・管理するとともに、CSR調査の対象を一部の二次調達先にも拡大しています。
ガバナンスの強化については、指名審議委員会の設置や後継者育成計画の実効性強化、取締役会の多様性拡大など、着実に改革を進めています。また、グループ全体の管理・統制とリスクマネジメントの強化を進めていきます。

未来へ挑戦するニコングループへ

ニューノーマルな生活様式やそれに伴う価値観の変化など、世の中が大きく変わりつつある中で、ニコングループも大きな転換点にあります。そうした状況を踏まえ、経営戦略機能とグループガバナンスの強化を図るために、2021年4月にニコンの組織改編を行いました。その中で、サステナビリティ部門を社長直轄の組織としました。これは社会の持続的成長に貢献する経営姿勢を明確にするとともに、その方針や戦略のグループ展開を促進するためです。
この新体制のもと、より一層、サステナビリティを推進するために、従業員一人ひとりが広い視野で物事を捉えるように働きかけていきます。例えば、現在の半導体露光装置は、初期の製品と比較して大きな電力を消費するようになっています。しかし、一方では高性能で低消費電力の半導体を効率的かつ大量に生産できるようになりました。その結果、生活や産業のあらゆる場面で効率の良い半導体が広く使われ、豊かな社会を作りつつ社会全体のエネルギー消費を大幅に抑制することにつながっています。これはトータルで考えれば社会への大きな貢献と言えるでしょう。
より良い未来を描き、それに向けて自らやるべきことやその社会への影響を多様な側面から常に考えることで、社会の持続可能性に貢献し、収益も向上するという好循環が生まれるのです。そうした土壌づくりがサステナビリティをはぐくむと信じています。
私たちの経営ビジョン"Unlock the future with the power of light"には、「未来を切り開く」という思いを込めています。新型コロナウイルス感染症がいまだ収束せず、さまざまな社会課題が顕在化している今だからこそ、「明るい未来創りに大きな役割を果たす」ことが求められています。私はそうしたことに挑戦し、貢献するニコングループにしていきたいと考えています。
ニコングループには、長い歴史とその中で培った信頼に基づくブランドがあります。しかし、それを守るだけでなく、未来に向けて挑戦するブランドをもう一度作り上げる決意です。ニコングループは変わります。ステークホルダーの皆様には、私たちの未来にご期待いただくとともに、一層のご支援をお願い申し上げます。

2021年7月
代表取締役 兼 社長執行役員
馬立 稔和