トップメッセージ

光の技術でサステナブルな未来を

2018年3月期を振り返って

2017年7月25日にニコンは創立100周年を迎えました。
当社は日本に光学技術を確立するという志によって設立されて以降、光学技術の先駆者としての道を切り拓いてきました。
そして100周年を機に、これまで培ってきた技術をさまざまな領域へ応用することによって新たな価値を創造し続けるニコンをめざし、新経営ビジョンを定めました。

"Unlock the future with the power of light"

この「光で未来を変える」というビジョンには、次の100年に向かって「光で社会に貢献し、社会と共に成長する」という私たちの決意が込められています。
2018年3月期は構造改革に邁進した年でもありました。ニコングループでは2019年3月までを「構造改革期間」と位置づけ、次の100年も持続的に企業価値を高めることができる企業体質をつくるためにさまざまな施策に取り組んでいます。そうした施策が功を奏し、2018年3月期は計画を上回る営業利益を計上することができました。今後の成長につながる基盤づくりを着実に進めることができたと考えています。
一方、サステナビリティの観点から社会を見渡すと、 2015年のパリ協定、SDGs(「持続可能な開発目標」)の流れを受け、企業のESG活動に対する社会の関心も大きく高まりつつあります。ニコングループではポートフォリオ経営によりROEなどの経営効率の向上を進めていくことと併せ、さまざまな社会課題の解決にどのように貢献していくのかを考慮して企業活動を行っていきます。

サステナビリティに関する方針

そうした中、ニコングループが今後ますます重要となるサステナビリティにどのように取り組んでいくべきか改めて検討しました。その結果、「経営とCSRの一体化」をより一層強力に推進していく決意を新たにしました。そして、その方針のもとにCSRの重要課題を見直し、「事業を通じた社会への貢献」「環境問題への対応」「CSRの基盤強化」という3つの領域に重点的に取り組んでいくこととしました。
「事業を通じた社会への貢献」については、社会や産業全般における課題に対し、主として我々が培った光学技術などを活かして広く貢献することをめざしています。
AIやロボティクス、IoTといった技術が急速に進展していく中で、光学技術はさまざまな分野で産業や人々が必要とする「眼」としての役割を担い、その利用範囲が急速に拡大していくことが予想されます。
ニコングループはそうした状況を新たな事業機会として捉え、光学技術をはじめとするコア技術を世の中のさまざまな課題やニーズに対して提供できるよう体制を整えてきました。近年実施してきた各グループ会社や各事業部に散在していた光学部品の製造拠点や光学設計機能の集約、そして本年4月に設立したコンポーネント事業推進室もそうした役割を担っていきます。
また、光によるイノベーションへの挑戦として現在開発を進めている光加工機は、露光装置で培った光学技術を応用して、レーザーでさまざまな材料に多様な加工を実現する装置です。非接触で精密かつこれまで作れなかった形状の加工ができるなどのメリットは、大きな可能性を持っています。こうした光の技術を用いた革新的な製品やソリューションなどに注力し、光の可能性を追求していきます。
「環境問題への対応」については、気候変動や水などの資源に対するリスクや化学物質に対する諸規制が高まっています。当社は、2016年に策定したサステナブルな社会への貢献をめざす「環境長期ビジョン」、およびそれに基づく「環境中期目標」を達成するよう、引き続き環境経営に注力します。
特に低炭素化については、効率化の観点から、グループ内での省エネルギーに取り組むことはもちろん、ニコンの強みを活かした製品やソリューションでお客様の工場におけるプロセスを効率化することが要だと考えています。
「CSRの基盤強化」については、ガバナンス、コンプライアンス、サプライチェーン、多様な従業員の活躍推進と働き方効率化、人権尊重といったサステナビリティの根幹となる課題に対して、社内外での対話を重ねながら一つひとつ着実に取り組んでいきます。
当社はこれらの環境問題やCSRの基盤強化に対する取り組みをさらに推進するため、本年5月にRBA(Responsible Business Alliance:責任ある企業同盟)に加入しました。これまで同様、国連グローバル・コンパクトを尊重するとともに、RBA行動規範についてもサプライチェーン全体で遵守するよう取り組んでいきます。

グループ総力での取り組み

私はこれから「サステナビリティ」という言葉にこだわって、ニコングループの全従業員にさまざまな発信をしていきたいと考えています。
新たに定めたCSR重点課題への取り組みを着実に進め、光の技術で社会や地球をサステナブルにしていくために、私自身が率先して世界中の従業員に向け、ニコンは何のために存在するのか、光でどんな未来をめざしているのかを発信し、一人ひとりがニコンのサステナビリティの考え方やそれに基づく施策について理解することが重要です。これは、従業員のモチベーション向上や誇りにもつながると確信しています。
ニコングループの全従業員が一体となって、その専門性と創造性を存分に発揮し、ステークホルダーの皆様の期待に応え、SDGsへの貢献をはじめとした社会的責任を果たしていくために、そうした発信や環境づくりを続けていきます。

ニコンはこれからの100年も世界の人々にとって存在価値のある企業として、企業理念の「信頼と創造」を具現化し、事業活動を通じて社会の持続可能な発展に貢献していきます。そして絶えることのない技術革新の中で、光の技術を通じて「産業と人々の新しい眼」となることをめざしていきます。
ニコングループ全員が一丸となって取り組む「光で変えていく未来」にご期待いただくとともに、一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2018年7月

株式会社ニコン
代表取締役 兼 社長執行役員
CSR委員会委員長
牛田一雄