ラオスの子どもたちの学びを応援

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ニコンはデジタルカメラの生産工場があるラオスのサバナケット県で、奨学生制度を通じて中学生の就学を支援しています。

アジアの中で特に貧しい国のひとつともいわれるラオス。「小学校が約8000校あるのに対して、中学校はわずか1000校ほど。生徒数に対して学校も教室の数も圧倒的に足りておらず、中学への進学率は6割程度です。また、校舎の屋根や壁が破損している、教員の数や能力が足りない、教科書やノートがないなどの問題を抱える学校もあります*。」ニコンと一緒に奨学生制度を運営している民際センターラオスのカムヒアさんは、ラオスの教育事情についてこのように語りました。

地方では遠くて学校に通えない、親や大人たちが子どもに教育を受けさせることの大切さを理解しない面があるなどの理由から、都市部と地方の教育格差も生まれています。

  • *カムヒアさんのコメントは2017年10月当時のものです。

「将来は学校の先生になりたい」

チャムポーン郡にあるボーヒンカオ中学校に通う奨学生のロンハーさんは、兄や弟と暮らしています。お父さんはおらず、お母さんはタイ・バンコクへ出稼ぎに出ていて、会えるのは年に1度の正月だけ。朝4時に起きて家事をして、1時間かけて学校に通っています。お兄さんは中学校に進学せず働いています。

メッカラーさんは、両親ともタイ・バンコクに出稼ぎに出ていて、姉弟と3人暮らし。隣に住むおじさんの家でごはんを食べさせてもらいながら学校に通っています。学校の先生になりたいという夢を叶えるため、一生懸命、勉強しています。

ホイさんの家族は農業で生計をたてています。おばあさんは、「お米の収穫時期になると、子どもが学校で作業を手伝えないのは正直とても大変です。でも、自分が苦労した分、この子には人並みにちゃんと勉強してもらいたいんです」と語りました。

「大学への進学機会を」

「貧しい子どもたちも教育が受けられ、将来、大学まで進学できるようになることを期待しています。」と語るのは、チャンポーン郡にあるドンミャン中学校の校長先生です。生徒の一部は裕福ですが、ほとんどは貧しい環境にあります。飲み水や昼食のない子どももいます。特に飲み水については、学校の外は不衛生で危ないので、飲まないように指導をしています。子どもたちの成長を見られることが校長先生の喜びだと言います。

「地域で子どもを支える仕組みをつくりたい」

民際センターラオスのカムヒアさんはこう語ります。「地域の人たちの力で、ラオスという国の経済を動かすことはできなくとも、地域の子どもを支えることはできます。ですから、奨学生を選ぶときは、国際協力NGOの我々ではなく、学校や教育委員会に選んでいただくことで、コミュニティが協力して子どもを支える仕組みをつくりたいと考えています。奨学生が後ろめたさを感じることなく、うれしいと思ってもらえるようなケアにも努めています」

Outlook

この「ニコン・民際センター奨学生制度」のきっかけは、Nikon Lao Co., Ltd.のオープニングセレモニーでラオスの高官が「この国の子どもたちは、勉強したくとも鉛筆もノートもない」と発言したことでした。その後、地域の方々とのコミュニケーションを大切にしながら、毎年100名の奨学生を支援しています。
いまでは、奨学生が在籍している学校から、Nikon Lao Co., Ltd.の社員となり活躍している卒業生も出てきています。ラオスでは教育支援と事業を通じた地域経済への貢献を通じて、地域との良好な関係が生まれました。ニコンはこれからも地域の方々に信頼され、社会とともに発展する企業を目指していきます。

Other Activities「ラオス語絵本づくり」で広がる支援の輪

ニコンでは、ラオスへの教育支援の一環として、2018年から従業員ボランティアを募り、「ラオス語絵本づくり」を開催しています*1。本屋や図書館がほとんどないラオスの子どもたちに絵本を届けるため、従業員ボランティアが日本の絵本*2にラオス語の翻訳を貼ってラオス語の絵本をつくる、という活動です。ラオスの教育環境向上のために活動している国際NGO「ラオスのこども」(以降、「ラオスのこども」)と協働で行っています。絵本づくりでは、単に作業をするだけでなく、「ラオスのこども」のスタッフからラオスの現状や教育事情をお話しいただくほか、ニコンのスタッフからもニコンが行っている奨学生制度やその視察の際のエピソードなどを紹介し、従業員がラオスへの理解を深める機会となっています。
近年では、オンラインでの会議システムを活用することにより、勤務地に関係なく多くの従業員に参加してもらえるようになり、また短時間勤務制度を利用中の従業員、産休中の従業員、さらにはご家族の方々にも活動の輪が広がっています。
完成した絵本は、「ラオスのこども」を通じて現地の子どもたちへ届けられています。

  1. *1これまで9回にわたり開催し、延べ207名の従業員とその家族が参加し、269冊の本が完成しています。(2021年3月時点)
  2. *2対象となる絵本は、いずれも出版社および著作権者より承諾を受けたものです。

オンラインでのイベント実施風景

届けられた絵本を手にした子供たち

関連するSDGs

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持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)

国際社会が持続可能な発展のために2030年までに達成すべき目標で、国連総会が2015年に採択した。貧困、飢餓、教育、気候変動に関してなど、合計17の目標からなる。