積層型CMOSイメージセンサーを開発

高速、高解像で、暗いところから明るいところまでを瞬時に撮像できる

2021年2月17日PRESS RELEASE/報道資料

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積層型CMOSイメージセンサー

株式会社ニコン(社長:馬立 稔和、東京都港区)は、秒1000コマ、HDR特性110 dB、4K×4Kの高解像度での撮像を実現する、総画素数約1784万画素の積層型CMOSイメージセンサーを開発しました。

本成果は、2021年2月15日から米国サンフランシスコで開催されているISSCC(国際固体素子回路会議)において発表しました。

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トップチップ(左)とボトムチップ(右)の構成図

開発の背景

ニコンは、光学機器メーカーとして、光学技術、精密計測・加工技術や材料技術などをベースに、映像技術の中核となる最先端イメージセンサーの研究開発にも取り組んでいます。現在、イメージセンサーは、デジタルカメラやスマートフォンといった映像分野のみならず、自動車などさまざまな産業分野にも用いられています。いずれの分野においても、小型・軽量、高フレームレート、広ダイナミックレンジ、高解像の全てを実現するイメージセンサーが求められています。

イメージセンサーの技術開発は、映像業界をリードするニコンに不可欠であり、今後も市場の要望を踏まえてセンサーの研究開発を継続していきます。

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主な特長

1. 業界最高水準の、HDR特性110 dBと秒1000コマの高速撮影を両立

本センサーは、2.7 um画素サイズに対応可能な微細ピッチの積層接続技術を採用したことで、撮像素子のあるトップチップをボトムチップのロジック回路から直接制御可能とし、1型のセンサーサイズながら、4K×4K画素の高解像度で110 dBの広ダイナミックレンジかつ秒1000コマの高速撮影を実現しました。高速読み出しにより、秒最大1000コマのスーパースローモーションの撮影が可能です。
また、秒60コマの撮影であれば、134 dBの広ダイナミックレンジを実現します。

  • 2.7 μ画素サイズ以下のピッチにおいて。2021年2月15日現在、ニコン調べ。
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秒1000コマで撮影した画像

2. 画面内の領域ごとに露出のコントロールが可能

トップチップは、16×16ピクセルを1ブロックとし、1画面に264×264ブロック(4224×4224ピクセル)が分割配置されています。これらのブロックをボトムチップから画面内の領域ごとに露出時間を細かくコントロールすることを可能としました。
この機能によって広いダイナミックレンジを表現することができ、明暗差の大きな被写体も、暗部が潰れたり明部が露出オーバーになることなく、画面全体を明瞭に撮影することができます。

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構成図
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1ブロックあたりの構成図
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本センサーで撮影した画像。
ダイナミックレンジが広いため、
暗部も明部も撮像できる。
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一般的なカメラで撮影した画像。
左写真が、右側の明部に露出を合わせた画像。
右写真が、左側の暗部に露出を合わせた画像。

主な仕様

横にスクロールしてご覧ください。

製造プロセス 65 nm BSI + 65 nm CMOS 積層プロセス
撮像素子 1型CMOSイメージセンサー
画素サイズ 2.7×2.7 μm
フレームレート 1000 fps
ダイナミックレンジ 110 dB(1000 fps時)
134 dB(60 fps時)
総画素数 約1784万画素(4224×4224画素)

こちらに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。販売が既に終了している製品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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