米国Yumanity Therapeuticsと神経変性疾患領域の創薬探索を目的とした、創薬アッセイ受託開発契約を締結

2018年3月28日PRESS RELEASE/報道資料

株式会社ニコン(社長:牛田 一雄、東京都港区)と、その子会社Nikon Instruments Inc.(社長:長野 敏明、本社:米国ニューヨーク州)、Yumanity Therapeutics(CEO: Tony Coles、本社:米国マサチューセッツ州、以下「ユマニティー社」)は、神経変性疾患領域における創薬探索を目的とした創薬アッセイ受託開発契約(以下「本契約」)を締結しました。本契約により、ニコンとユマニティー社は効果的な治療法の開発を促進させ、神経変性疾患領域の病に罹る人々のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指します。

創薬探索や細胞製造をサポートするハイコンテントスクリーニング(HCS)※1市場は、近年大きく伸びています。ニコンが生物顕微鏡で培ったライブセルイメージング技術※2もHCSの1つです。ニコンは、ライブセルイメージング技術を活用した細胞培養観察装置「BioStation CT」や、細胞の製造プロセス全体を統合的に管理する「細胞品質・培養プロセス評価システム」などの提供を通し、創薬探索の加速化や再生医療の実用化を推進しています。

ニコンは、創薬企業からの委託に基づき、新薬候補である化合物が薬になりうるかを調べるために、「BioStation CT」を用いて化合物の効果を評価するシステムの構築を始めています。これが、創薬アッセイ受託開発です。細胞の培養、観察、画像解析の技術を組み合わせて、一つひとつの細胞のはたらきや遺伝子の発現などを評価します。前臨床試験から上市まで、ユーザーごとの創薬探索プロセスにあわせ、最適な創薬評価方法を提案するコンサルティングを含めた受託開発です。

ユマニティー社は、患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から誘導した、複数の神経疾患が現れている細胞を用いて、新しい治療法の開発を行っています。異常なタンパク質の凝集によって引き起こされる、神経変性疾患細胞の修復を目指しています。

本契約により、ユマニティー社が開発したiPS細胞由来の神経変性疾患細胞と、ニコンが提供するHCSを応用したアッセイ※3技術を用い、神経変性疾患領域の発生メカニズムを解明し、新薬候補である化合物の効果や安全性の評価を行います。

神経変性疾患領域においては、既存の治療方法では病状を改善する効果はほとんど期待できません。疾患を有する人の割合は、今後、数十年で急激に増加すると予測され、治療方法の開発が待ち望まれている世界的な医療課題です。

  • ※1ハイコンテントスクリーニング:迅速な生物的研究と薬剤探索を可能にする光学、化学、生物学、画像解析を駆使した自動画像解析手法のこと。
  • ※2ライブセルイメージング技術:生きた細胞のはたらきや遺伝子の発現を可視化し、画像観察する手法のこと。
  • ※3アッセイ:化合物が薬になりうるかを調べるために、細胞外である試験管内などで反応を再現させること。

神経変性疾患について

神経変性疾患は、脳内の合併症によって引き起こされ、パーキンソン病やアルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの疾患は、認知、記憶、運動機能、音声に多大な影響を及ぼします。現時点で、治療満足度(医師が治療効果を感じる度合)が非常に低い治療方法しか存在しません。

ユマニティー社について

ユマニティー社は、神経変性疾患領域における創薬開発を目指し、バイオテクノロジー業界で有名なTony Coles M.D.と、タンパク質の凝集研究の先駆者である故Susan Lindquist Ph.D.によって2014年に設立されました。
タンパク質の凝集によって引き起こされる病態の再現技術と、これらを用いた疾患メカニズムの解明という新しいアプローチにより、パーキンソン病やアルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者に向けた治療法の開発を行っています。

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