オープンイノベーション

将来にわたって世界中の人々の暮らしの豊かさと確かさに貢献していくためには、新たな製品やサービスの創出に向けた不断の取り組みが不可欠です。しかし、技術革新は日ごと加速し、ユーザーニーズも多様化しています。そこでニコンは、外部リソースを積極的に活用するオープンイノベーションを取り入れています。M&Aなどのアライアンス、ベンチャー企業へ出資するためのプライベートファンドの設立、共に未来に挑戦するイノベーターの募集と協働、ベンチャーキャピタルとのコラボレーションなど、さまざまな取り組みを通じて将来のビジネスへの種を蒔き、新製品の開発や新事業の立ち上げのスピードを加速しています。
アライアンス

ニコンでは他企業との業務や資本の提携、共同研究、M&Aによる子会社化など、さまざまなアライアンスを通じて、自社の技術だけでは足りない部分を補い、既存事業領域の周辺分野への進出や新規事業の獲得など、事業領域と事業規模の拡大を図っています。
糖尿病による眼疾患を対象とした機械学習活用ソリューション事業でVerily Life Sciencesと戦略的提携を締結
ニコンと、その子会社Optos Plcは、Verily Life Sciences LLC (以下「Verily社」、旧Google Life Sciences)と、Machine Learning(機械学習)を活用した網膜画像診断領域における戦略的提携を締結しました。これにより、ニコンの強みである光学技術、精密制御、および精密機器の量産技術、Optos独自の超広角(Ultra-Widefield)技術および眼科診断市場における強力な事業基盤に、Verily社の傑出したMachine Learning技術を組み合わせることが可能になります。眼科医・検眼医、糖尿病専門医などへの簡易な診断ソリューションを提供することで、糖尿病網膜症および糖尿病黄斑浮腫の早期発見・治療に貢献し、多くの患者の予後管理にも貢献できると考えています。
英国Mark Roberts Motion Control社を子会社化
近年、映像市場において効率化や独自性を高めるためのロボティクスによる自動化ソリューションのニーズが高まっています。ニコンは、優れたロボティクス技術をベースに自動撮影ソリューションで高い評価を得ているMark Roberts Motion Control Limited(以下「MRMC社」)を子会社化し、同社のテレビや映画業界におけるリーディングポジションを強化するとともに、MRMC社が開発した自動撮影ソリューションと、当社が持つ映像関連技術と広範な販売チャネルの活用などにより新市場の開拓を目指し、映像事業における事業領域の拡大を推進していきます。



主な事例
- 2016年2月4日 米国Tribogenics社への出資に関して
- 2016年9月16日 米国Carbon3D社への出資に関して
- 2016年9月20日 英国Mark Roberts Motion Control社の子会社化に関するお知らせ
- 2016年12月13日 再生医療製品製造用自動観察機能付インキュベータを共同開発
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2016年12月27日
Verily Life Sciencesと糖尿病による眼疾患を対象としたMachine Learning
(機械学習)活用ソリューション事業で戦略的提携を締結
プライベートファンド

SBIインベストメント株式会社と共同で、ニコンの既存事業分野およびIT、AI、ロボットなどの最新技術やサービスの新規分野を投資対象とする新たなプライベートファンド「Nikon-SBI Innovation Fund」を2016年7月設立し、運用しています。
Nikon-SBI Innovation Fundの概要
CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)プログラムの一環としてSBIインベストメント株式会社と共同設立したプライベートファンドで、投資対象をニコンの既存事業のみならず新規分野に拡大します。SBIインベストメントがこれまで培ってきた成長分野への投資実績と経験を活用し、事業シナジーが見込まれるベンチャー企業への投資を通じて新事業の育成を実現します。
「Nikon-SBI Innovation Fund」の規模は最大100億円、運用期間は8年間を予定しています。
主な出資先
- 事業領域
- 将来の映像サービス事業、産業機器事業、ヘルスケア事業など
- 分野
- IoT、AI、VR/AR、ロボティクス、ヘルスケアなど
- 実績
- 2016年度はベンチャー企業4社とベンチャーキャピタル1社へ出資。2017年度はベンチャー企業4社へ出資(2017年9月末現在)。
- 1.将来の映像事業関連(コミュニケーションロボットなど)
- 2.高精度・高出力X線装置関連
- 3.眼科診断関連
- 4.ロボット技術・制御技術(自動運転プラットフォーム)
ベンチャーキャピタルとの協業

ニコンでは新規事業の拡大に向けて300億円規模の資金をCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)プログラムに投資することを決定し、すでにSBIインベストメント、Geodesic Capital、Beyond Next Ventures、500 Startups Japan、など、日欧米の複数のVCに出資しています。各VCからは多くのディール情報やトレンド情報を提供いただくとともに、定期的なミーティングで情報を交換。ベンチャービジネスの調査・比較、対象会社の事業調査や将来価値の推測算定など幅広いサポートを得ています。
Corporate Accelerator Program

「その挑戦に投資します。」をニコンの想いとして、新規事業の創出を目指す「Corporate Accelerator Program」(コーポレートアクセラレータープログラム:以下、CAP)を2016年10月3日から開始。世界に向けてイノベーションを起こす意欲のあるベンチャー企業を募集し、そのビジネスアイデアを支援しています。CAP2016は、株式会社ゼロワンブースターと共同で実施しました。
CAP2016
多く応募の中から選抜されたベンチャー企業に、本プログラムの期間中、ニコンの社内外の専門知識を持った人材による多様なメンタリング(指導やさまざまな支援)を行いました。選出したベンチャー企業は、以下の7社です。
- 4Dセンサー株式会社
- AssistMotion株式会社
- 株式会社エフマイナー
- 株式会社BLINCAM
- 株式会社バカン
- 株式会社オー
- 株式会社 Borderless
2017年7月に「Demo Day」を開催しベンチャー企業と弊社の社内メンターが、5ヶ月間の活動成果を発表しました。今後も有望なベンチャー企業と、新事業創出に向け共に活動していきます。

大学、企業、外部団体等との連携

アライアンスやプライベートファンド、ベンチャーキャピタルとの協業、Corporate Accelerator Programの他にも、社外との連携を積極的に進めています。例えば、再生医療関連では京都大学iPS細胞研究所との共同研究や、株式会社ヘリオスとの業務・資本提携、複数企業が参加する「スマート・セル・プロセシング」プロジェクトへの参画などに取り組んでいます。
主な事例
- 2016年5月26日 京都大学iPS細胞研究所との共同研究を開始
- 2017年2月22日 株式会社ヘリオスと再生医療の実用化に向けた業務・資本提携契約を締結
- 2017年3月23日 再生医療用細胞の品質確保へ向けた「スマート・セル・プロセシング」プロジェクトへの参画について