ECLIPSE Ts2 / Ts2R

2017.1.10倒立顕微鏡

顕微鏡の原型となるアイコニックな存在を目指して 使用環境にフィットする、清潔感のある明快なデザイン

顕微鏡のデザイン刷新の先駆けプロダクトデザイン担当 渡邉 純人

顕微鏡は付属するアクセサリーが多く、製品サイクルが長いため、全体としての統一感を保つことに苦労しています。

そんな中、今回の倒立顕微鏡Ts2/Ts2Rは、2機種同時に開発を進められる絶好の機会であり、「ニコンの顕微鏡といえば、これ」という今後の原型となるデザインが求められていました。

研究者や学生など幅広いユーザーに使いたいと思ってもらえるような、使用環境を考慮した清潔感のある造形、時代で色あせない明快な造形、そして操作性を十分に配慮したデザインを目指しました。

デザインコンセプトは
クリーン&クリア左:プロダクトデザイン担当 小林 達也
右:プロダクトデザイン担当 柳沢 正明

今回、倒立顕微鏡Ts2/Ts2Rをデザインするにあたり、1つの大きなコンセプトを掲げました。それは「クリーン&クリア」です。

クリーンは、できるだけ凹凸をなくして清潔な状態の維持が容易な造形と、清潔さを感じるカラー。クリアは、一目でその製品を記憶できるようなアイコニックな造形と、コントラストが明快な色分けのことです。

この2つを併せ持つものは何かをデザイングループで検討を重ね、幅広くスケッチを展開し、そこからアイデアを練っていきました。そこで1枚のキーとなるスケッチができました。

光の動きを表現したラインとシンプルな押し出しの形状で構成し、一目でその製品を記憶できるような、アイコニックなデザインにしました。シンプルな構成を原型とすることで、今後の顕微鏡デザインへ広く展開が可能であると考えています。

倒立顕微鏡の特徴を視覚化する

これまでニコンの顕微鏡は、モチーフとして光の通り道の部分に、黒色のパーツを配置しており、今回もこの思想を継承しました。そして本体を白色にすることで、高いコントラストを持つモノトーンの筐体となり、光の通り道を表現することができました。

また、倒立顕微鏡は光学系や機械部品が下部に搭載されていますので、上部のデザインはスッキリとしたデザインが望ましいと考えました。最終的には、上方を絞り込み、下に向かって台形のように広がるスタイリングによって、軽快さと安定感を併せ持ったデザインを実現しました。

デザインコンセプトを具現化するために

新たな原型を生み出すために、形状のディテール検証には、これまで以上に長い時間をかけました。1/1サイズの部分モデルを作り、実際の使用状態を想定し、接眼レンズを覗きながら、ダイヤルやスイッチの位置は使いやすいか、ダイヤル部のローレットの溝加工が適正か、などの操作性を検証しました。

一方、全体のバランスについては、3DデータをCGで確認するとともに、1/10サイズのモデルも作成して、念入りに検証しました。

また、いつもより早い段階から設計者とデザインイメージを共有し、共に作り上げるという目標のもとプロジェクトを最後まで進められたことが、成功要因の1つでした。

時代や環境に合わせた、これからの顕微鏡のカラー

倒立顕微鏡Ts2/Ts2Rは、本体カラーの白の色味にもこだわりました。これまでの製品に使用していた白は、少し黄色が入ったオフィスホワイト。数年前までオフィス家具全般で多く使われていた色で、当時の周辺環境に合わせ、汚れても目立たない点が長所です。しかし、時代とともに現在は純粋な白を使ったオフィス家具や内装などの環境が増えてきました。そこで、ニコンの顕微鏡も「これからのあるべき姿」に向けて、新しい白を検討し、事業部へ提案しました。

カラーチャートを持参して、他社製品やそれぞれの環境で使われている色を調査し、時代や環境に合った色を作りました。この白と黒との高コントラストによって、より明快に造形を表現することができました。コンセプトを体現する今回の色を、私たちはクリーンホワイトと呼んでいます。

これからのニコンビジネス製品デザイン

今後、ニコンのビジネス製品はますます拡大していくと予想されます。ユーザー視点での生産性やワークフロー、使用環境を十分検証しながら、常にチャレンジする気持ちを胸に、魅力あるデザインを生み出していきます。