高速で動く被写体も瞬時にピント合わせできる、最先端オートフォーカスシステム予測駆動AF(AutoFocus)

AFとは、シャッターボタンを半押しした際に、カメラが自動的にピント合わせを行う機能です。ピント合わせに要する撮影者の操作負担を大幅に軽減することで、カメラ操作に熟練せずともシャッターチャンスを逃さず、ねらった構図で撮影することが可能になります。


図1

AFの仕組みは、大きく分けて2つの方式があります。

一眼レフカメラに搭載されているものは「位相差検出法」という方式です。レンズを通して入力される被写体の画像情報から、センサ内のセパレータレンズで2つの像を生成し、その像間隔をラインセンサで計測して、ピントのズレ量を検出します。結像面に対してピントが合っている面が撮影レンズ側にある場合(前ピン)2つの像間隔は適正値より狭く、逆に後ピンの状態では間隔が広くなります(図1)。つまり合焦している状態での2つの像間隔を基準に、狭くなっていれば前ピン、広ければ後ピンと判断し、どの方向にどれだけレンズ位置を移動すれば合焦するかを瞬時に演算してレンズを駆動します。そのため、高速でピント合わせが可能になります。


図2

一方、コンパクトカメラに採用されているものの多くは「コントラスト検出法」という方式です。“ピントが合っている=コントラストが最も高い”という考え方のもと、イメージセンサが得た被写体の画像情報を解析し、レンズを動かしながら画像のコントラストが最も高くなるレンズ位置を探します(図2)。探し始めは前ピンか後ピンかが分からないため、レンズを動かしながらコントラスト値を計算し、その変化の軌跡から合焦位置を求めます。したがって「位相差検出法」より時間を要しますが、撮像用のイメージセンサでAFができると言ったメリットがあります。

AF機能が最も威力を発揮するのは、動いている被写体を追いかけながら撮影する場合のピント合わせです。静止している被写体であれば、ファインダーや液晶モニタを利用してマニュアル操作でピント合わせを行うことも容易ですが、動いている被写体に対して的確にピント合わせを行いながらシャッターチャンスを狙うには、熟練した技術が必要です。

動いている被写体に対して、常にピントを合わせ続けるモードが「コンティニュアスAFサーボ(AF-C)」ですが、実はこれだけでは不十分です。なぜならシャッターボタンを押してから実際に撮影されるまでには時間差、いわゆるレリーズタイムラグが生じるからです。それを解決するのが、被写体の動きを測定し、撮影する瞬間における被写体位置を予測してレンズを駆動する「予測駆動AF」というアルゴリズムです。つまり動いている被写体の移動速度を認識し、レリーズタイムラグを考慮して合焦させます。ニコンのAF機能では、多くの動く被写体の実写データをもとに、被写体の動きの軌跡から予測駆動を制御することで、あらゆるシーンで常に正確なAF動作を実現しています。

高速で移動する物体を高速連写しながら正確にAFするためには、「データ取込→演算→レンズ駆動」といった一連のAFサイクルの処理速度を向上させることも重要です。ニコンでは「オーバーラップサーボ」という独自の技術を採用しています。一般的には、「データ取込→演算→レンズ駆動」のAFサイクルを繰り返し行っていますが、ニコンの「オーバーラップサーボ」では、レンズ駆動しながら、次の撮影のためのデータ取り込みを行うので、一連のAFサイクルを短縮することができるのです(図3)。したがって、高速に動き回る被写体であっても、瞬時にしかも正確にピントを合わせることが可能です。

図3マルチCAM3500FXオートフォーカスモジュール

「予測駆動AF」は、一定の速度でカメラに近づいてくる被写体に対しては非常に有効で、F1マシンのように時速300キロを超えるスピードで迫ってくるような被写体でも、的確に合焦し続けることができます。

逆に難しいシーンは、高速で近づいてくる被写体が急に向きを変えた場合や、コントラストの低い被写体がランダムに動き回るシーンを撮り続けるケースです。このような被写体に対応するために、被写体の動きの軌跡を蓄積して判断するなど、複数のエリア間での連携が必要になります。

D3に搭載されている「マルチCAM3500FXオートフォーカスモジュール」は、51ものフォーカスエリアを持っています。撮影者の意図を考慮しながら最適なAFエリアを選択したり、モード設定によって、隣り合う複数のフォーカスエリアをグループ化し、被写体に重なるグループ内のフォーカスエリアを自動選択してAFするといった機能を備えています。

また中央の15のエリアは、使用するレンズに左右されることなく縦・横のパターンが認識できます。また他に類をみないデフォーカス検出範囲の広さにより、ピント位置がどこにあっても正確に被写体までの距離を測距できることもニコンのAF技術の優れている点です。デフォーカス検出では、ピントが合っていない状態において、そのズレ量をどこまで認識できるかが重要です。検出限界が狭いと、一旦レンズを任意の方向に動かし、ピントのズレ量を探ってからAFしなければならないため時間を要してしまうのです。

カメラ操作に戸惑うことなく、動いているものでも簡単にピントのあった写真を撮ることができるために、ニコンのAF技術はさらなる進化を続けています。

2008年3月更新