量産対応ArF液浸ステッパーの開発について
2004年2月19日
株式会社ニコン(東京都千代田区、社長:嶋村 輝郎)は、60ナノメートルデバイスの量産に対応したArF液浸ステッパーを2005年後半に市場投入します。投影レンズのN.A.は世界で初めて1.0以上になります。
半導体デバイスの更なる高性能化、高集積化に伴い、リソグラフィー分野においては、次世代露光装置の開発が進められる一方、現在の先端技術であるArF露光装置を用いて、更なる微細化に対応するリソグラフィープロセスの提案も行なわれています。液浸技術を用いたArF露光は、各種プロセスをほとんど変更することなく高解像度を実現する画期的な手法として、多くの半導体メーカーからその実現に強い期待が寄せられています。
当社では、90年代より独自に基礎開発を推進してきました。昨年6月からは東京エレクトロン(株)と共同で実証性確認を行っております。その結果、ArFの液浸露光について、その実現を妨げるボトルネックは無いと判断し、製品化に向けた開発ステージに移行することを決定、昨年12月に今後の開発スケジュールを発表致しました。
このたび、12月の発表後における市場の大きな反響及び社内の開発進行状況を検討した結果、開発計画を前倒しすることを決定致しました。当初予定のN.A. 0.92での初期量産用装置をスキップし、2005年の後半に1.0以上のN.A.で、現行ステッパーとの互換性を維持した1/4縮小倍率と26×33mmの露光範囲を有する量産用装置を市場投入することと致しました。
大気中では原理的に不可能な、1.0以上の超高N.A.投影光学系を世界に先駆けて開発・製品化することにより、半導体デバイスの更なる微細化を可能にし、同時に半導体メーカーの効率的な設備投資に寄与することで、半導体産業の発展に貢献します。
【製品の概要】
| N.A.(開口数) | 1.0以上 |
|---|---|
| 解像度 | 60nm以下 |
| 露光範囲 | 26×33mm |
| 縮小倍率 | 1/4 |
| 販売開始予定 | 2005年後半 |
【従来の開発スケジュール】
| 2004年後半 | ArF液浸露光の実用性評価(Engineering evaluation)のための装置を完成し、ユーザー評価を開始。現在販売を行っているArF露光機「NSR-S307E」をベースに開発、投影レンズのN.A.は0.85。 |
|---|---|
| 2005年 | 初期量産用装置を完成。「NSR-S307E」の後継機種をベースに開発し、N.A.は0.92。 |
| 2006年 | 量産用装置の販売を開始。N.A.>1.0。 |
液浸露光技術
ステッパーの解像度は通常、 解像度=k(プロセス係数)×λ(光源波長)/N.A.(開口数:投影レンズの明るさ)で表され、光源の波長が短く投影レンズのN.A.が大きいほど高い解像度が得られます。ここでN.A.は、N.A.=n×sinθで与えられ、nは露光光が通過する媒質の屈折率であり、θは露光光が形成する角度です。通常の露光は大気中で行われますから、n=1です。これに対し液浸露光技術は、投影レンズとウェハの間に、屈折率 n が1よりも大きな液体を満たす露光方式で、投影光学系のN.A.の定義において、N.A.=n sinθの、nを拡大することです。同一の露光光の光線入射角θでは、最小解像寸法を 1/n に縮小(改善)することができます(光学系N.A.をn倍に拡大する効果)。一方、従来と同一のN.A.にした場合は、θを小さくできるため、焦点深度を n 倍に拡大(改善)することが可能です。光源にArFレーザを用いた露光では、投影レンズとウェハの間を、純水(屈折率1.44)で満たします。顕微鏡では以前より用いられてきた方式ですが、液浸露光装置への本格的な検討は近年スタートしました。
ニコンは2003年6月より東京エレクトロン株式会社(東京都港区、社長:佐藤 潔)と共同で開発を行っております。
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