CMP装置事業へ参入
2000年11月15日
改訂:2000年2月27日
株式会社ニコン(社長:吉田 庄一郎)は、現在急速に市場が拡大している「CMP装置」※1事業に参入いたします。世界中から高い評価を受けているステッパー(縮小投影型(逐次)露光装置)ビジネスで培った、精密機構技術をベースに、新しいコンセプトの CMP装置を開発。平成13(2001)年春からの出荷を計画しております。売上高は、初年度に当たる平成13(2001)年度では30億円、4 年後に当たる平成17(2005)年度では300億円以上を目指します。
- ※1「CMP(Chemical Mechanical Polishing) 装置」:LSI 表面の平坦化を目的とした研磨装置。半導体デバイスの微細化・高速化に伴い、その必要性が増大している。平成12(2000)年の世界需要は 1 千億円以上と予測され、5 年後の平成17(2005)年には 2 千億円以上に成長すると予想されている。
なお、株式会社ニコン CMP 推進部は、CMP装置「NPS2301」を「セミコン・ジャパン2000」(12月6日(水)~8日(金)、於:日本コンベンションセンター(幕張メッセ))のニコン・ブース<Hall 3. ; Booth No. 3-A902>に出展の予定です。
事業参入の背景
国産ステッパーの第1号機、ニコン縮小投影型露光装置「NSR-1010G」を昭和55(1980)年に発売以来20年、当社の半導体製造装置ビジネスはシリコンサイクルに揉まれながらも拡大を続け、現在では全社売上高の50 % 以上を占めるに至っています。この間、ステッパーは露光光源を短波長化し、投影レンズ性能を高めることで、LSI の微細化を実現してまいりました。一方、レンズの N.A. を改善し解像度を向上すると焦点深度(D.O.F.)は浅くなる傾向にあります。このため、製造プロセス途中での、LSI 表面の平坦化がより求められています。更に、φ300mm ウェハラインの稼働が目前に迫った21世紀初頭には、0.13μm 以下のデザインルールへの移行に加え、配線遅延を回避するための銅(Cu)配線や低誘電率膜(Low-k)材の本格的な導入※2など、製造プロセスは更に高度化し、LSIの平坦化(プレーナー)技術の重要性はますます高まっていくものと予想されています。
21世紀に向けて "新世紀事業" と位置付けるビジネスを、ステッパーの周辺領域でも探索してきた当社では、このような流れを受けてこの度、ステッパー事業との相乗効果を持つ CMP装置事業に参入いたします。当社が長年培った独自の高精度レンズ研磨技術、精密機構技術や光学測定技術に加えて、研削盤等の平坦化技術の分野で高い評価を得ている株式会社岡本工作機械製作所(社長:細田 泰造 氏、本社:神奈川県厚木市上依地、http://www.okamoto.co.jp/)から技術の導入を図ることで、新たなコンセプトの CMP装置を開発し、LSI の更なる進化に貢献いたします。
- ※2「配線遅延を回避するための銅(Cu)配線や低誘電率膜(Low-k)材の本格的な導入」:配線遅延は、半導体デバイスの微細化やチップの大面積化に伴い、1.)配線断面積が狭くなること、2.)チップ内の配線長が長くなること、などが原因で配線抵抗が増し、デバイスの動作周波数が低下する現象。1.)従来のアルミニウム(Al)配線をより導電率の高い銅(Cu)配線に、2.)層間絶縁膜の材料を誘電率のより低い材料にそれぞれ置き換えることで、配線遅延の抑制が追究されている。
ニコンCMP装置の主な特長
- 優れた段差解消性(平坦性)
小径(φ150mm)の研磨パッドを高速回転すると同時に揺動させ、従来よりも低圧・低荷重でウェハに押し当てて研磨する「低圧高速ローカルポリッシュ」を採用。従来の大径(φ600mm)パッドでは不可能であった部分研磨(ローカルポリッシュ)を可能に。 また、従来よりも研磨荷重を低く抑えて、パッドの変形量も小さく、段差解消性を向上。更に、低荷重研磨により、従来難しいとされていた銅配線等の研磨も、ウェハパターンに影響されることなく高平坦性を実現でき、Low-k 材料などの新しいプロセスへの対応も期待できます。あわせて、層間絶縁膜や STI※3 等の従来プロセスに優れた平坦性を発揮。
- ※3「STI(Shallow Trench Isolation)」:「浅い溝分離法」の略。チップ内に複数個の素子を形成する際、素子同士が互いに好ましくない影響を及ぼさないよう電気的に分離する技術の一つ。素子分離のための埋め込み酸化膜の形成に、平坦化技術が用いられる
- 安定した研磨性能

インデックステーブル方式で、研磨工程間のウェハをより確実かつ高速に搬送。また、研磨工程終了まで同一のウェハチャック(支持枠)に固定するので、チャック間のバラツキによる研磨性能への影響を排除可能。
- 確実で高精度な終点検出

研磨中、ウェハ表面を上向きとする「フェイスアップ研磨方式」の採用で、ウェハ上の同一エリアを in-situ※4 モニタリングする終点検出方式を可能に。終点検出器には当社の培ってきた光学方式を採用し、それらを各研磨工程毎に搭載し、メタル研磨や層間絶縁膜、STI 研磨において確実で精度の高い終点検出を実現。
- ※4「in-situ モニタリング」:(研磨中にその状況を)リアルタイムでモニタリングすること。
- 低いランニングコスト
現状の CMP装置の生涯(ライフサイクル)コストの約60% を、研磨パッドやスラリー(研磨溶液)等の消耗品が占めるともいわれています。従来の CMP装置では、大径の研磨パッド(φ600mm)の周縁部を研磨に用い、スラリーは研磨パッドの中央近くのオープンスペースへ供給して遠心力で周縁部に浸透させている等の理由から、消耗品の使用効率は決して良くありませんでした。今回開発を進めている装置では、小径パッド(φ150mm)を使用し、スラリーはパッドとウェハの間に直接供給。供給したスラリーの100 % 全てがウェハとパッド間を通過するので、消耗品の使用効率を高め、ランニングコストを大幅に削減できます。
- オートパッドチェンジャー(オプション)
従来の装置では、熟練作業者でも 1 時間以上を要していた研磨パッドの交換を、今回開発を進めている装置では極めて短い時間に自動交換可能。消耗した研磨パッドの交換作業に係わるダウンタイムを大幅に短縮できます。
- 省スペース化
小径パッドの採用で、フットプリントの縮小も図りました。特に φ300mm ウェハ対応機で効果が顕著(従来機比)。
主な仕様
| スループット | 毎時50枚以上(200mm ウェハを 1 分研磨で 3 工程おこなった場合) |
|---|---|
| セッティングカセット数 | 4 カセット オープン(AGV、SMIF 対応可) |
| ウェハ処理 | ドライイン-ドライアウト |
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