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Nikon
株式会社ニコン | Japan
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苅谷 道郎:取締役社長 兼 社長執行役員 兼 CEO 兼 COO

Q1: 2009年3月期の業績の総括をお願いします。
A1:

2009年3月期は、世界経済が減速を始めた中でのスタートであったため、期初から緊急経営対策を実施して対応に努めました。しかしながら、2008年秋に米国で起きた金融危機を機に経済の減速が世界中で一気に進み、市場の冷え込みは予想をはるかに超えるものとなり、当社グループの事業に大きな影響を与えました。

精機カンパニー関連市況のうち、半導体関連では、半導体デバイスの世界的な需要減退による大幅な設備投資抑制を背景に、市場規模が著しく縮小しました。液晶関連では、上半期には投資が活況であったものの、2008年夏以降、薄型テレビ向け大型パネルの需要がにわかに減速したことを契機に、市況は停滞を余儀なくされました。そのような中、最先端のArF液浸スキャナーや大型の液晶露光装置が売上に貢献しましたが、関連市況の低迷の影響により減収減益となりました。
映像カンパニーでは、活況を呈した上半期の影響で、通期では販売台数・売上高とも過去最高を記録しましたが、下半期において為替相場が大幅な円高となったことや、急激な景況悪化に伴う個人消費の低迷により、減益となりました。
インストルメンツカンパニーでは、バイオサイエンス関連において、ライブセルを扱う領域を中心に堅調に推移しましたが、産業機器関連では、ほぼすべての産業で設備投資が抑制されるなど、市況停滞の影響を受け減収減益となりました。

Q2:2010年3月期からスタートした中期経営計画はどのような内容ですか?
A2:

3年間の各期における中期経営計画の方針は、2010年3月期が「事業構造・収益構造の改革」と「損益分岐点の引き下げ」、2011年3月期が「景気回復局面に向けた対応開始」と「黒字化の達成」、そして2012年3月期が「継続的成長軌道に戻す」というものです。本計画の策定にあたっては、半導体メーカーなどの設備投資の抑制や最終製品の需要低迷がしばらく続くことを前提としています。さらに、そこから回復した後の世界の需要構造は従来とは異なり、どの企業も横並びで成長できるような時代にはならないと予想しています。
そのような市場環境の変化に対応し、厳しい事業環境のなかでもニコンという企業が継続的に成長していくことを考えなければなりません。本計画では、最終年度に当社グループを継続的成長軌道に戻すことを方針としています。そのためには、「厳しい環境にも対応できる収益力の強化」と「成長持続のための製品開発」が重要であり、この二つが本計画の柱です。

まず、「厳しい環境にも対応できる収益力の強化」において、精機カンパニーでは、市場の変化に対応するため世界規模で事業拠点の再編を行います。具体的には、国内の生産子会社4社を2社に再編・統合するとともに、米欧2社の現地法人の販売およびサービスに関する業務をできる限り一体化しスリム化を図ります。さらに、日本およびアジアのサービス体制においては、事業規模に合わせたスリム化を進めて効率的な事業展開を進めます。これらの実施により、国内の生産・サービスに関わる要員ならびに海外の販売・サービスに関わる要員をそれぞれ削減するなど、約80億円の固定費圧縮を見込んでいます。
一方、映像カンパニーにおいては、いっそうの円高に耐えられる生産体制の構築に取り組んでいきます。当社では、為替レートについて、2009年3月期に比べると、2010年3月期から2012年3月期にかけて円高がさらに進行することを前提としています。そのため、これまで進めてきたタイや中国などへの生産シフトの強化や、外貨建てによる部品調達の拡大などを戦略的に進めていきます。
次に、「成長持続のための製品開発」に対しては、最先端露光装置や次世代デジタルカメラの開発・製品化、バイオ・産業機器の開発の強化、新規事業の推進と新領域の探索などを行います。そして、このような製品開発と同時に事業の新しい展開方法を考えていくことによって各業界を主導し、景気回復の波に確実に乗るための準備を進めていきます。

Q3:2010年3月期の見通しと、注力すべき取り組みについて教えてください。
A3:

2010年3月期は、半導体露光装置については半導体メーカーの設備投資が極端に低迷し、液晶露光装置も一部のパネルメーカーに稼働率の向上が見られるものの、設備投資は冷え込みが続くと予想しています。また、デジタルカメラは、各社の相次ぐ新製品投入による競争の激化や製品単価の下落が予想されることに加えて、為替相場が円高基調で推移すると見込まれるなど、厳しい市場環境になると考えられます。
このような見通しの中で、2010年3月期は赤字決算を見込んでいます。これは2010年3月期に赤字を出してでも、構造改革に取り組むことで、2011年3月期に黒字化を達成させ、2012年3月期は継続的成長軌道に戻すという、強い決意を表したものです。

当社グループとしては、こうした厳しい状況下においても継続的に成長できるよう、先に述べた中期経営計画の基本方針を忠実に実行し、事業構造・収益構造の改革や損益分岐点の引き下げと並んで成長持続に向けた製品開発に取り組みます。
同時に、将来の成長を支える案件には積極的に取り組んでいきます。当社ではインストルメンツカンパニーを精機カンパニー、映像カンパニーに次ぐ第3の柱に育て、将来的には同事業の売上高を1,000億円規模に引き上げることを目指しています。それに向けて、ベルギーの精密測定機メーカーMetris NV社*に対し、友好的に 公開買付けを行い、2009年8月に子会社としました。同社は非接触式の三次元測定機に強く、事業内容において補完関係にあることから、製品分野を広げるとともに同社が得意とする自動車業界・航空機業界を取引先に加えることで、顧客基盤の強化を図ります。
精機カンパニーにおいては、今後、需要の拡大が見込まれる最先端の液浸露光装置の増産に向けた新棟を熊谷製作所に建設中です。
また、先端要素技術の開発や基礎研究を進めるコアテクノロジーセンターが、当社グループにおける先進的な技術力・ものづくり力の源泉として、各事業ユニットの競争力・収益力の向上に、よりいっそう貢献することも緊急の課題としています。そのような中で、設備投資や研究開発計画では、対象領域を絞り込みながら、景気回復局面に向けて2010年3月期は設備投資に410億円、研究開発に560億円を実行する予定です。



*2009年11月10日付にて「Metris NV」は、「Nikon Metrology NV」に社名変更しました。
Q4:厳しい事業環境下でのCSR活動で、特に重要な点はありますか?
A4:

当社グループは今、大変厳しい経営環境に直面しています。しかし、こういう時だからこそ、すべてのステークホルダーの方々に誠実に対応しなければいけません。儲けるために、ニコンに対する「信頼」を決して裏切ってはいけません。経営環境の良否にかかわらずCSR(企業の社会的責任)の重要性を認識して、コーポレート・ガバナンスを強化し、コンプライアンスを徹底させ、人材育成および環境経営に努め、そして「期待」以上の価値を「創造」していかなければならないことを、改めて心にとどめておく必要があります。
「信頼と創造」という企業理念のもと、マネジメントと社員が一丸となり、迅速・的確、かつ大胆に取り組むことによって、この困難を乗り切っていきます。

Q5:株主還元策と、2009年3月期および2010年3月期の配当について教えてください。
A5:

当社の利益配分は、「将来の成長に向けた事業・技術開発への投資を拡大し、競争力強化に努めるとともに、株主重視の観点から安定的に配当を行うことを基本としながらも、業績の反映度を高めていく」を方針としています。そのため、「総還元性向」25%以上を目標とし、増配や自己株式の取得など、株主の皆様への還元を実施してきました。
2009年3月期は、減収減益となりましたので、期末配当金は前期末に比べ1株当たり8円減配の5円50銭とし、年間配当金は中間配当の12円50銭と合わせ1株当たり18円とさせていただきます。
2010年3月期の年間配当金については、赤字決算の見込みではありますが、2011年3月期の黒字化を必ず達成する固い覚悟の下、安定配当の実施が重要と考え、1株当たり8円(うち中間配当金4円)を予定しています。
株主ならびに投資家の皆様には、引き続きご指導・ご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

<インタビュー内容は、2009年8月31日現在のものです。>



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