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西の空では夏の大三角が沈みかけ、東の空からは「オリオン座」が昇り始めました。そのあいだの空には木星やフォーマルハウト以外に明るい星がなく、秋の寂しさを感じさせますが、この後に訪れる華やかな冬の星空を迎えるための準備をしているようでもあります。
ひょっとすると今年、そんな静かな夜が少しにぎやかになるかもしれません。11月18日の明け方を中心に見られる「しし座流星群」が、例年よりも活発な活動をするかもしれないと予想されています。ちょうど月明かりもなく、最高の条件で見られそうですので、好天とともに予想が当たることを祈りましょう。もちろん空が暗いところで観察できればベストですが、町明かりがあっても、30分だけでも夜空を見上げてみてください。
では11月の星空案内を始めましょう。
2009年11月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空のようすです。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(3日)、上弦(25日)の位置を入れてあります。
2009年11月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空のようすです。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
| 2日(月) | 明け方の東の空で、火星とプレセペ星団が接近 | |
|---|---|---|
| 3日(火) | 満月。次の満月は12月2日です。 | |
| 4日(水) | 月とプレアデス星団(すばる)が並ぶ | |
| 7日(土) | 立冬(りっとう:冬のはじまり) | |
| 9日(月) | 明け方、月と火星が並ぶ | |
| 10日(火) | 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦〜新月は夜空が暗く、星がよく見えます) | |
| 11日(水) | 未明から明け方にかけて、月とレグルスが接近 | |
| 14日(土) | このころ、くじら座の変光星ミラが極大(もっとも明るくなる) | |
| 15日(日) | 明け方、細い月とスピカが並ぶ | |
| 17日(火) | 新月(下弦〜新月は夜空が暗く、星がよく見えます) | |
| 17日(火) 〜18日(水) |
しし座流星群の活動がピークのころ | |
| 23日(月) | 月と木星が並ぶ | 25日(水) | 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む) |
水星は、太陽に近いために見えません。
金星は、明け方5時ごろに昇ってきて、日の出前の東の空に「明けの明星」として見えています。たいへん明るいのですが、高度がかなり低くなっているので、東の空の見晴らしがよいところで探すとよいでしょう。
火星は「かに座」にあります。
夜10時ごろ昇ってきて、早朝に南東の空の高いところに見えます。地球に近づいてきているのでだんだん明るくなってきており、まわりに見える冬の1等星に見劣りしない輝きを放っています。
2日ごろ「かに座」のプレセペ星団に大接近し、双眼鏡で同一視野に見えます。また、9日の明け方に月と並びます。
木星は「やぎ座」にあります。
宵のころに南西の空に見えており、深夜11時ごろに沈みます。まだまだ見やすい位置にあるので、ぜひ観測してみましょう。
木星の周りを回るガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)は、双眼鏡でも見えます。望遠鏡を使うと、木星の表面にある縞模様や、大赤斑という巨大な渦巻きも見えます。
23日に半月と接近します。
土星は「おとめ座」にあります。
深夜2時ごろ昇ってきて、明け方の東の空に見えます。日が進むにつれて高度が上がって見やすくなっていきます。
今年8月と9月に見えなくなっていた環は、やや傾きが大きくなったので少し見やすくなっています。望遠鏡で観察してみましょう。
毎年11月17〜18日ごろに見られる流星群が「しし座流星群」です。流星群とは、毎年決まった時期にまとまった数の流星が見られる現象のことで、8月の「ペルセウス座流星群」などが有名です。
流星は空のどの方向にも流れますが、よく調べると、天球上のある1点を中心にしてそこから流れ出てくるように見えます。この中心点を「放射点」と呼び、放射点が「しし座」の方向にあるので「しし座流星群」と呼ばれているのです。この放射点を中心に流星が見えるということは、放射点がなるべく高いときに観察したほうが、たくさんの流星が見えます。しし座流星群の放射点は深夜11時ごろに昇ってきて、明け方のころには南東の空のかなり高いところにきます。
しし座流星群の見え方。流星群の流星は、放射点を中心に流れるように見える
また、流星群には、もっとも活動が活発になる極大時刻というものがあり、この時刻の前後が一番多く流星が流れます。2009年のしし座流星群の場合は、極大は18日の午前6時ごろと予想されており、理想的な条件のもとでは1時間あたり200個もの流星が飛ぶと言われています。夜明けが始まって空が明るくなると流星は見えにくくなりますが、「18日の未明から明け方」に注目してみましょう。
かつては、流星群の予想は難しいものでしたが、現在は時刻や数について、かなり正確な予想ができるようになってきました。とはいえ、予想外の出現もあるかもしれません。時間が許すなら一晩中、それが無理なら18日の明け方、ぜひ空を見上げて流れ星を探してみましょう。寒さ対策や安全への配慮もお忘れなく。
今月は、明るさが変わる不思議な星、「くじら座」の「ミラ」をご紹介します。
夜空に見える星の明るさは不変のように思えますが、実は、明るさが変わる星があります。「さそり座」のアンタレス、「オリオン座」のベテルギウス、北極星など、有名な星も明るさが変わります。こういった星のことを「変光星(へんこうせい)」と呼びます。明るさが変わる理由は、星の大きさが変わるから、2つの星が回りあっているから(重なって1つにしか見えないときが暗く、2つ見えているときが明るい)などです。
秋の夜空には変光星として有名な星がいくつかありますが、その中でもとくに注目したいのは、「くじら座」の「ミラ」という赤い星です。約330日の周期で、2等級から10等級まで明るさが変わります。つまり、明るいときには簡単に肉眼で見つけられますが、暗くなると双眼鏡でも見つけにくくなるのです。「ミラ」には、ラテン語で「不思議」という意味があります。
ミラの見つけ方
「くじら座」は秋から冬にかけての星座なので、このころに明るくなっていれば、ミラを見つけることができます。反対に春から夏にミラが明るくなってしまうと、昼間に空に出ていることになりますから、見えません。今年は11月中旬ごろに一番明るくなりますので、ミラを見つける絶好のチャンスです。南の空を向いて、頭の真上あたりに見える「秋の四辺形」からたどってみましょう。
アニメーションで見ると、12月中旬には3等級になって町中から見るのは難しくなり、来年1月中旬には5等級で空が暗いところでないと見えなくなることがわかります。この秋から冬は、ぜひ「不思議な星」ミラを見つけて、明るさが変わるようすを確かめてみてください。
ミラの明るさが変わるようす
今月の星座では「うお座」をご紹介しましょう。
11月中旬の夜9時ごろ、南の空の高いところに、2等星と3等星の星4つでできる「秋の四辺形(ペガススの四辺形)」が見えています。この四辺形の東側(南を向いて四辺形の左)と南側(四辺形の下)の辺に沿うように広がっているのが「うお座」です。
星占いに使われるので名前はよく知られている「うお座」ですが、3等星より明るい星が1つもないため、空が相当暗いところでなければ見つけづらい星座です。この秋は、「今月の星さがし」でご紹介した「くじら座」のミラが明るいので、「秋の四辺形とミラの間にある」と覚えておくとよいでしょう。
「うお座」と周辺の銀河。銀河の画像の拡大率はすべて異なります(銀河の画像は © ESA DSS2 (AURA))
星座の絵を見ると、2匹の魚が描かれており、尾がリボンのようなもので結ばれています。神話によるとこの2匹の魚は親子で、怪物に襲われたため魚に化けて逃げるときに、離れ離れにならないように尾を結んだとされています。「うお座」が暗いのは、怪物に見つからないようにしているからなのかもしれません。
「うお座」やそのまわりには、比較的見やすい渦巻銀河がいくつかあります。
「うお座」のお隣にある「アンドロメダ座」には「M31 アンドロメダ座大銀河」が、「さんかく座」には「M33」があります。M31は、空が暗いところなら肉眼でもぼんやりと見え、双眼鏡や望遠鏡を使うとさらに広がりがわかるようになります。一方のM33も、空が暗いところで双眼鏡を使うと、簡単に見つけられます。詳しい見つけ方や双眼鏡で見たイメージは、昨年11月の「星さがし」を参考にしてください。
また、「うお座」にも、M74というきれいな形の渦巻銀河があります。こちらはM31やM33と比べるとかなり暗くて小さく、双眼鏡で見るというわけにはいきませんが、暗い空と望遠鏡が使える機会があれば探してみてください。
M31とM33は200万光年以上かなた、M74は3700万光年かなたにある、とても遠い天体です。つまり、私たちが見ているのは、数百万年、数千万年前に放たれた光ということです。銀河を観察するときには、この長い時間のことも、ちょっと思い出してみましょう。
※星図中の銀河の写真は、大口径の望遠鏡で長時間かけて撮影されたものなので、一般的な双眼鏡や望遠鏡で観察してもこのようには見えません。また、円の大きさは銀河ごとに異なるので、見かけの大きさもそれぞれ異なります。
夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。
図は11月中旬の深夜1時ごろの星空です。12月中旬の23時ごろ、来年1月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月は消しています)。
11月15日 深夜1時ごろの空
秋の四辺形が西の空にやってきました。今月の星さがしでご紹介したミラは、南西の空に見えています。まわりに明るい星がないので、よく目立つでしょう。
南の空には、冬の明るい星々が輝いています。明るいだけでなく、色の違いも美しいですね。東の空に見える赤い星は、来年1月に地球に最接近する火星です。地球に近づくにつれて明るくなるので、これも「明るさの変わる星」と言えるかもしれません。
18日の深夜から明け方にかけては、この火星のあたりを中心に流れ星が飛ぶように見えるはずです。流れ星に夢中になって風邪をひいたり体調を崩したりということのないように、じゅうぶん暖かい格好でお楽しみください。
○暗いところでジッと待つ
流星はわりあい暗いものが多く、周囲に明るい街灯があったり、車のライトで目がくらむようなところでは、暗い流星を見つけることはできません。
どんな場所が流星をさがすのに向いているかというと、
ような場所がいいでしょう。
また安全のために
で見るようにしましょう。雨天の準備もお忘れなく。
場所が決まったら、まず
ようにしましょう。だんだん、見える星の数がふえ始め、暗い流星も見えるようになります。
○星空をまんべんなくながめる
流星群の放射点がたとえば「しし座」にあるからといって、その方向ばかりをさがしてもいけません。放射点の近くは、短い流星ばかり流れます。
むしろ放射点の方角と90度くらいはなれたところをながめている方が、長く尾を引く流星が見つかるでしょう。
また、流星群と関係のないふつうの流星も、意外と多く流れています。
双眼鏡の対物レンズ有効径とひとみ径は 大きい方がよいでしょう。
一方、倍率は、手持ちで使うことが多い双眼鏡の場合、むやみに高い倍率では、かえって手ブレで見づらくなりがちです。
三脚と三脚アダプターを使わないのであれば、一般的には、対物レンズ有効径が30〜50mmで、倍率は7〜10倍クラスの双眼鏡がお勧めです。
対物レンズ有効径が Φ40mmで約9等星まで、Φ50mm径で約10等星まで見えます。
大きく重いものが多い天体望遠鏡と比較すると、組み立てを必要としない双眼鏡は携帯に便利で、気軽な天体ウオッチングには最適です。
「天体の観測には、天体望遠鏡がなくては…」と思いがちですが、小型の双眼鏡でも、肉眼よりははるかに多くの星が見えますし、大きく広がった星雲や、明るい星団・彗星の観察には、大きな見掛視界を持ち、広い視野が得られる双眼鏡が、望遠鏡より適することもあります。
星が見えにくい都市部の空でも、双眼鏡の効果は劇的です。何も見えないと思っていた夜空に双眼鏡を向けてみると、星たちの瞬きが見えることがあります。
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