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星空案内:1月の星空

 2009年が始まりました。今年は「世界天文年」です。

 1609年、ガリレオ・ガリレイが自作の望遠鏡を空に向け、初めて天体観測を行いました。それから400年、国際連合・UNESCO・国際天文学連合は節目となる2009年を「世界天文年」と定めました。世界中の人々が宇宙に親しみ、宇宙や地球、人類のことを考える1年にしようと、いろいろな企画が計画されています。もちろん日本でも、各地の天文台やプラネタリウムでイベントが行われたり、本やTV番組、ウェブで特集されたりするでしょう。詳しくは、世界天文年2009の公式ウェブサイトをご覧ください。

 そんな世界天文年のスタートとなる1月ですが、夕方の南西の空で金星がとてもよく目立っています。ふだんあまり星空に興味がない人にも「おや?」と思ってもらえる、うってつけの天体かもしれませんね。そして夜になれば、オリオン座をはじめとする冬の賑やかな星々が夜空を彩ります。星や星座の名前はわからなくても、まずは「きれいだな」と夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。

 では1月の星空案内を始めましょう。

1月の星空

南の空

南の星空のようす

2009年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空のようすです。

月は、上弦(4日)、満月(11日)の位置を入れてあります。

大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

北の空

北の星空のようす

2009年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空のようすです。

大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

1月の天文カレンダー

1日(木)   初日の出
夕方、月と金星がならぶ
3日(土)   しぶんぎ座流星群の活動がピークのころ
4日(日) 上弦 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西空に沈む)
水星が東方最大離角(夕方の西の空で見やすくなります)
7日(水)   翌朝にかけて、月とプレアデス星団(すばる)が大接近
11日(日) 満月 満月。次の満月は2月9日です
月とポルックスがならぶ
13日(火)   月とレグルスが接近
14日(水)   金星が東方最大離角(夕方の西の空でとても目立っています)
18日(日) 下弦 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦〜新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
未明から明け方にかけて、月とスピカが接近
22日(木)   明け方、月とアンタレスが接近
夕方、金星と天王星が大接近
26日(月) 新月 新月(下弦〜新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
東南アジア方面で金環日食
30日(金)   夕方、細い月と金星が接近

1月の惑星

水星

 水星は、中旬ごろまで日没後の西の空低くに見えます。南西から西南西の空を探してみましょう。

 4日は「東方最大離角」となって太陽から大きく離れるので、このころにもっとも見やすくなります。

 上旬は、近くに木星があり、双眼鏡で同時に見えます。

水星

金星

 金星は日没後の南西の空にあり、宵の明星として輝いています。

 マイナス4等ととても明るいので、簡単に見つかるでしょう。日が進むにつれてどんどん高くなり、観察しやすくなります。

 20〜25日ごろ、天王星と接近します。金星を目印にして天王星を見つけてみましょう。また、30日には細い月と接近します。

金星

火星

 火星は「いて座」を移動しています。

 太陽のそばにあり、見えません。

火星

木星

 木星は「いて座」から「やぎ座」を移動しています。

 上旬は夕方の西の低空に見えますが、中旬以降は太陽のそばにあって見えなくなります。

 近くに水星があり、双眼鏡で同時に見えます。

木星

土星

 土星は「しし座」にあります。明るさは0.8〜0.9等です。

 午後9時ごろ昇ってきます。望遠鏡で観察すると環が見えますが、ひじょうに細くなっているのがわかるでしょう。

土星

1月の流星群

「しぶんぎ座流星群」

 毎年1月4日ごろに見られる「しぶんぎ座流星群」は、毎年安定した活動を見せてくれる流星群です。知名度はあまり高くありませんが、8月のペルセウス座流星群、12月のふたご座流星群とならんで、年間三大流星群のひとつに数えられています。

 流星は「放射点」と呼ばれる点を中心に流れ出るように見えます。この放射点が「しぶんぎ座(壁面四分儀座)」にあったので「しぶんぎ座流星群」という名前が付いているのですが、その「しぶんぎ座」はなくなってしまいました。現在は放射点の近くにある星の名前をとって「りゅう座ι(イオタ)流星群)」と呼ばれることもあるのですが、実は放射点は「りゅう座」でもなく、「うしかい座」にあります。とてもややこしいですね。

しぶんぎ座流星群

 しぶんぎ座流星群の見え方。流星群の流れ星は、放射点を中心に流れるように見える

 今年の活動のピークは、3日の22時ごろと予想されています。3日の夜から4日の明け方にかけては月明かりがなく、たいへん好条件で流星を観察できそうです。年始め(冬休み最後?)の天文イベントとして楽しんでみてはいかがでしょうか。

 明け方はいっそう冷え込みますから、寒さ対策を万全にして楽しみましょう。

今月の星さがし

 今月は、「金星と天王星の接近」と「ぎょしゃ座の散開星団」をご紹介しましょう。どちらも、双眼鏡や低倍率の望遠鏡で楽しめます。

金星と天王星の接近

 夕方の南西の空では、金星のまぶしい輝きがとてもよく目立っています。その金星が、1月下旬に天王星と接近します。

 天王星は5.9等と暗いので、ふだんはなかなか見つけられません。しかし1月下旬は、金星というとてもわかりやすい目印がすぐそばにあるので、天王星を見つけるチャンスです。双眼鏡やフィールドスコープを使って探してみましょう。

金星と天王星

 2009年1月下旬の、金星と天王星の位置関係

 双眼鏡では金星と天王星だけでなく、まわりの星も見えますので、それらの星との位置関係をたよりにして天王星を見つけましょう。望遠鏡で倍率を高くすると、金星は小さな半月状に、天王星は青緑色の円盤状に見えます。

ぎょしゃ座の散開星団:M36、37、38

 「ぎょしゃ座」は、1等星カペラが目印の、五角形をした星座です。1月中旬の午後9時ごろには、ほぼ頭の真上あたりに見えます。「ぎょしゃ」というのは「馬車をあやつる人」という意味で、アテナイの王エリクトニウスの姿だと言われています。

 その「ぎょしゃ座」に、双眼鏡でも楽しむことができる星の集まり「散開星団」が3つならんでいます。このあたりには天の川も流れているので、双眼鏡を使うと星がたくさん見えてきますが、その天の川の星々を背景にして、3つの散開星団が見つかります。

ぎょしゃ座の散開星団:M36、37、38

 ぎょしゃ座の散開星団:M36、37、38

 双眼鏡(視野の広さ7度)では、3つがちょうど視野内に収まります。望遠鏡を使うと、星の数が増えるとともに、3つの違いが楽しめるようになるでしょう。M36は星の数は少ないながらも明るい星が多く、M37はやや密集していて一番明るく、M38は暗めの星が広がっています。星図をたよりにして、ぜひ3つとも探し出してください。

今月の星座

『おうし座』

 今月の星座では「おうし座」をご紹介しましょう。

 どれもよく目立つ冬の星座の中でも一番有名なのは、なんといっても「オリオン座」でしょう。その「オリオン座」の三ツ星を西(図では右)の方向に伸ばしていくと、赤い1等星が見つかります。これは「おうし座」の目にあたる星で、アルデバランといいます。

 アルデバランの周辺には星がV字型に集まって牛の顔を作っています。また、立派な角も2本伸びています。

 さらに、アルデバランのさらに西のほうには、青白い星が集まっているところがあります。「M45 プレアデス星団」という名前がありますが、日本人には「すばる」という名前のほうがよく知られているでしょう。

おうし座とオリオン座

 「おうし座」と「オリオン座」

 ギリシャ神話では、大神ゼウスが化けた白い牛の姿とされています。牛に化けたゼウスは美しい女性エウロパを背中に乗せて、地中海を渡ってある大陸へとたどり着きました。たどり着いた地「ヨーロッパ」は、エウロパにちなんで名づけられたということです。また、エウロパの名前は木星(ゼウスを象徴する惑星)の衛星のひとつにも付けられていますが、エウロパを発見したのはイタリアの科学者ガリレオで、今からほぼ400年前の1610年のことでした。

「M45 プレアデス星団(すばる)」

 「おうし座」の肩にあたるところに、青白い星が集まった天体があります。およそ1000年前に清少納言が『枕草子』で「星はすばる……」と綴った「すばる」は、日本でもっともなじみ深い天体のひとつでしょう。

 ちょうど10年前の1999年から観測を開始した、日本がハワイに建設した望遠鏡にも、一般公募で「すばる望遠鏡」という名前が付けられました。楽曲のタイトル、文学作品の登場人物、自動車のブランドなどにも、「すばる」という名前が使われています。

 一方、西洋名「プレアデス」は、ギリシャ神話に登場する7人姉妹を指しています。星団中の星々には、姉妹と両親の名前が付けられています。

 空の条件がよければ、肉眼でも5〜7個ほどの星が見えます。双眼鏡では、さらにたくさんの星が見えてきて、実に美しい眺めになります。

「M42 オリオン座大星雲」

 「おうし座」のとなり、「オリオン座」にある有名な天体もご紹介しましょう。

 三ツ星の南(図では下)に、ボンヤリとした小さな雲のような天体があります。空が暗いところなら、肉眼でも存在がわかるでしょう。これが「M42 オリオン座大星雲」です。その正体は宇宙空間に漂う星間物質(ガスやチリ)の集まりで、星間物質が収縮して新しい星が生まれる場所です。

 双眼鏡では鳥が羽をひろげたような姿が見えてきます。また、望遠鏡を使うとさらに複雑な形が見え、中心部にある4重星のトラペジウムもわかるでしょう。

「すばる」もオリオン座大星雲も、見飽きることのない見事な天体です。肉眼で、双眼鏡やフィールドスコープで、望遠鏡で、ぜひその美しさをお楽しみください。

真夜中の星空

 夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

 図は1月中旬の深夜1時ごろの星空です。2月中旬の23時ごろ、3月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月は消しています)。

真夜中の星空

 1月15日 深夜1時ごろの空

 冬の星座が少しずつ西に傾き始めましたが、依然として夜空にはたくさんの明るい星々があふれています。この星図の中には1等星が10個見えていますが、全天の1等星は21個なので、ほぼ半分見えていることになります。

 南の空では「しし座」が雄姿を誇っています。冬の星座たちを追い払って自分の力をアピールしているようにも見えますね。後ろ足のあたりには土星がありますが、環はますます細くなっているので、小さい望遠鏡ではそろそろ環が見えづらくなってきたかもしれません。東の空には「春の大三角」が見え始めました。

 2009年は「世界天文年」ですが、自分だけでなく家族や友人と一緒に、星々や宇宙に親しむ1年です。まずは手始めに、夜空に見えている1等星の名前を教えてあげてみてはいかがでしょうか。名前だけでなく、色や明るさの違いもわかれば、さらに興味が深まるはずです。「みんなで楽しむ世界天文年」にしたいですね。

ミニ知識

流星を見つけるポイント

○暗いところでジッと待つ

 流星はわりあい暗いものが多く、周囲に明るい街灯があったり、車のライトで目がくらむようなところでは、暗い流星を見つけることはできません。

 どんな場所が流星をさがすのに向いているかというと、

  • まわりに明るい照明などがなく
  • 東西南北のどの方向の空もよく見える

ような場所がいいでしょう。

また安全のために

  • ぜったいに車の通る道路の上は避け
  • 水辺や崖の近くにもよらず
  • 足元の安全な場所

で見るようにしましょう。雨天の準備もお忘れなく。

 場所が決まったら、まず

  • 暗いところに目がなれるまで待ち
  • 寝袋で寝転がるなど、なるべく楽な姿勢で
  • 星空の広い範囲をぼんやりとながめている

ようにしましょう。だんだん、見える星の数がふえ始め、暗い流星も見えるようになります。

○星空をまんべんなくながめる

 流星群の放射点がたとえば「うしかい座」にあるからといって、その方向ばかりをさがしてもいけません。放射点の近くは、短い流星ばかり流れます。

 むしろ放射点の方角と90度くらいはなれたところをながめている方が、長く尾を引く流星が見つかるでしょう。

 また、流星群と関係のないふつうの流星も、意外と多く流れています。

天体用双眼鏡の選び方

双眼鏡の対物レンズ有効径とひとみ径は 大きい方がよいでしょう。

一方、倍率は、手持ちで使うことが多い双眼鏡の場合、むやみに高い倍率では、かえって手ブレで見づらくなりがちです。

三脚と三脚アダプターを使わないのであれば、一般的には、対物レンズ有効径が30〜50mmで、倍率は7〜10倍クラスの双眼鏡がお勧めです。

対物レンズ有効径が Φ40mmで約9等星まで、Φ50mm径で約10等星まで見えます。

双眼鏡の特長

大きく重いものが多い天体望遠鏡と比較すると、組み立てを必要としない双眼鏡は携帯に便利で、気軽な天体ウオッチングには最適です。

「天体の観測には、天体望遠鏡がなくては…」と思いがちですが、小型の双眼鏡でも、肉眼よりははるかに多くの星が見えますし、大きく広がった星雲や、明るい星団・彗星の観察には、大きな見掛視界を持ち、広い視野が得られる双眼鏡が、望遠鏡より適することもあります。

星が見えにくい都市部の空でも、双眼鏡の効果は劇的です。何も見えないと思っていた夜空に双眼鏡を向けてみると、星たちの瞬きが見えることがあります。

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