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星空案内:3月の星空

 春らしい柔らかな日の光が感じられる時期になりました。とはいえ、夜はまだまだ寒いですから、星空を眺めるときには防寒対策をじゅうぶんにしてください。

 「かに座」や「しし座」といった春の星座たちが、見やすい高さまで昇ってきました。しし座の1等星レグルスと並んで輝く土星は、3月中も見ごろです。また、東の空からは「うしかい座」の1等星アルクトゥールスや「おとめ座」の1等星スピカも昇ってきています。一方、西の空では、シーズン終盤を迎えた冬の明るい星たちが最後の輝きを見せています。

 では3月の星空案内を始めましょう。

3月の星空

南の空

南の星空のようす

2008年3月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空のようすです。
月は、上弦(14日)、満月(22日)の位置を入れてあります。
大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

北の空

北の星空のようす

2008年3月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空のようすです。
月は、上弦(14日)の位置を入れてあります。
大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

3月の天文カレンダー

1日(土)

5日(水)
ごろ
  明け方、水星と金星が大接近しています
3日(月)   水星が西方最大離角(明け方の東の空で見やすくなります)
6日(木)   明け方に細い月と水星、金星が接近します
8日(土) 新月 新月(下弦〜新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
14日(金) 上弦 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西空に沈む)
19日(水)   月と土星、レグルスが接近します
20日(木)   春分の日
22日(土) 満月 満月。次の満月は4月20日です
30日(日) 下弦 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦〜新月は夜空が暗く、星がよく見えます)

3月の惑星

水星

 水星は金星と並んでいて、明け方5時ごろに東の空に昇ってきます。
 あまり高くならないうちに空が明るくなってしまうので、中旬以降は見つけにくいでしょう。

水星

金星

 金星は水星と並んでいて、5時ごろから東空に姿を現します。
 あまり高くならないうちに空が明るくなってしまうので、やや見つけにくいですが、明るいので水星よりは目立ちます。

金星

火星

 火星は、昨年末の地球最接近から3か月ほど過ぎ、明るさも少し暗くなって1等級ほどになりました。
 20時ごろには南西の空の高いところにあり、2時ごろに沈みます。

火星

木星

 木星は「いて座」にあり、2時半ごろに昇ってきます。
 マイナス2等級で明るく輝いているので、明け方の空では高度が低い金星よりも見つけやすいでしょう。

木星

土星

 先月末に衝(しょう:地球から見て太陽の反対側に来ること)を迎えた土星は、観察の好期が続いています。「しし座」の1等星レグルスのそばで光っていますが、この間隔はさらに小さくなっていきます。
 日が暮れるともう見え始めており、真夜中に南の空の高いところにきて、ほぼ一晩中見ることができます。

土星

3月の流星群

 3月は、とくに流星群の出現はありません。

今月の星さがし

 今月は、晩冬から初春に見られる「明るい星団」をご紹介します。

明るい散開星団たち

 冬から春にかけて、双眼鏡や小型の望遠鏡で見て楽しむことができる星団(星の集まり)がいくつかあります。いずれも、空が暗いところなら肉眼でも見つけられるくらい明るいものですが、双眼鏡などを使うとより多くの星が見えるので、たいへん美しい眺めとなります。

「明るい散開星団:M44, 45, 46, 47, 48」

 冬から春に見られる、明るい散開星団たち(円の直径は2度)

 散開星団とは、数十個から数百個の比較的若い星々が集まってできている天体です。代表的なものに、「おうし座」のM45 プレアデス星団(すばる)があります。

上の図で、数字の前についている「M」というのは、18世紀のフランスの天文観測家メシエ(Messier)が作成した「メシエカタログ」に含まれていることを表しています。カタログには銀河や星雲など全部で110個の天体がリストアップされており、そのうち27個が散開星団ですが、上の図にあるようにM44〜48はすべて散開星団です。ちょうど今の時期に全部見られるので、ぜひ探し出してみてください。

「M44, 46, 47, 48の探し方」

 M44, 46, 47, 48の探し方

 M45(プレアデス星団、すばる)は有名なので、ここでは残りの散開星団の探し方を星図でまとめてみました(M45については1月の星座:「おうし座」をご覧ください)。

 いずれも、明るい星どうしをつないだ真ん中あたりと見当をつけて、双眼鏡や望遠鏡で探してみましょう。このとき、双眼鏡や望遠鏡のファインダーの視野の広さを知っておくと、位置関係がわかりやすくなります。うまく探し出せたら、他の天体にも挑戦してみてくださいね。

3月20日は春分の日

 3月20日は「春分の日」です。太陽が真東から昇り、真西に沈んでいきます。ところで、なぜこの日が「春分の日」なのでしょうか。

「天の赤道と黄道」

 天の赤道と黄道はななめに交わっている

 地球の赤道をそのまま天までのばすと、天に大きな円を描くことができます。この円(線)を「天の赤道」と呼びます。地球が赤道で南北に分かれるように、天も天の赤道で南北に分かれます。

 一方、地球から見た太陽の通り道のことを「黄道(こうどう)」と呼びます。地球は自転軸を傾けたまま太陽の周りを公転しているので、地球の自転軸と同じように傾いている天の赤道と、地球が太陽の周りを公転する面と同じ面にある黄道は、ななめに交わっています。天の赤道と黄道は1年に2回交わりますが、そのうちの1回、太陽が南から北に通過する日が「春分の日」なのです。

「春分の日の太陽は「うお座」にある、でも星占いでは「おひつじ座」」

 春分の日の太陽は「うお座」にある。オレンジ色は二十四節気

 黄道はおもに、誕生日の星占いで使われる「黄道12星座」の中を通っています。もともとは、生まれた日に太陽がある付近の星座が「誕生日の星座」でしたが、地球の歳差という運動の影響により、現在ではおよそ1か月ずれてしまいました。

 たとえば、上の図で太陽が「春分」から「穀雨(こくう)」の間にあるとき、太陽は(ほとんどの期間)「うお座」にありますが、誕生日の星座は1つ先の「おひつじ座」(星占いでは「白羊宮:はくようきゅう」)になるのです。

今月の星座

『かに座』

 今月の星座では「かに座」を紹介しましょう。

 4等星以下の暗い星ばかりでできているので、明るい空ではあまり目立つ星座とは言えませんが、星占いに出てくる星座なので名前は有名でしょう。「ふたご座」の1等星ポルックスと「しし座」の1等星レグルスの間にあると見当をつけてください。小さな四角形が目印で、かにの甲羅にあたります。

かに座

 「かに座」

 ギリシャ神話では、アミモーネの沼にいたヒドラ(9つの頭を持つヘビの怪物、「うみへび座」)がヘルクレスと戦ったときに、ヒドラの助っ人に現れた「かに」とされています。仲間思いのかにですが、ヘルクレスにあっという間に踏み潰されてしまいました。

「M44 プレセペ星団」

 かにの甲羅にあたる小さな四角形の真ん中には、散開星団M44があります。プレセペ星団とも呼ばれていますが、プレセペは「かいば桶(馬の餌桶)」という意味です。星団のすぐ北の星を「北のロバ」、南の星を「南のロバ」に見立て、2匹のロバが“かいば”を食べている姿に見立てたものとされています。

 プレセペ星団は、空の暗い所では肉眼でもボンヤリとその存在がわかり、中国では死んだ人の魂が天に昇る所と考えられていたそうです。双眼鏡では、いくつもの明るい星が視野の中に見え、じつに見事な眺めです。

 なお、3月17日から18日にかけて、プレセペ星団が月に隠されるという現象がおこります。月がとても明るいので肉眼や双眼鏡で見ることはできませんが、望遠鏡があれば星が次々と隠されていくようすを楽しむことができるでしょう。

M44

 M44 プレセペ星団

真夜中の星空

 夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

 図は3月中旬の深夜1時頃の星空です。
 4月中旬の23時ごろ、5月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星座の配置になります(惑星は少し動きます/月は消しています)。

真夜中の星空

 3月15日 深夜1時の空

 「しし座」の2等星デネボラと「うしかい座」のアルクトゥールス、「おとめ座」のスピカを結んでできる「春の大三角」が、南の空でよく目立ちます。南の空の低いところには、全天で一番大きな星座「うみへび座」が横たわっています。頭から尻尾の先まで、全部つなげられるでしょうか?

 北の空では、「北斗七星」が高いところまで昇ってきました。ひしゃくの柄のカーブを延ばしていくと、アルクトゥールス、スピカへと連なる「春の大曲線」をたどることができます。

 また、北東の空には「はくちょう座」のデネブや「こと座」のベガが、南東の空には「さそり座」のアンタレスが見え始めました。どれも夏の1等星ですが、夜中になればもう見えているのですね。

 さらに夜が更けて2時半ごろになると、木星も昇ってきます。

ミニ知識

天体用双眼鏡の選び方

双眼鏡の対物レンズ有効径とひとみ径は 大きい方がよいでしょう。
一方、倍率は、手持ちで使うことが多い双眼鏡の場合、むやみに高い倍率では、かえって手ブレで見づらくなりがちです。
三脚と三脚アダプターを使わないのであれば、一般的には、対物レンズ有効径が30〜50ミリで、倍率は7〜10倍クラスの双眼鏡がお勧めです。
対物レンズ有効径が Φ40mmで約9等星まで、Φ50mm径で約10等星まで見えます。

双眼鏡の特長

大きく重いものが多い天体望遠鏡と比較すると、組み立てを必要としない双眼鏡は携帯に便利で、気軽な天体ウオッチングには最適です。
「天体の観測には、天体望遠鏡がなくては....」と思いがちですが、小型の双眼鏡でも、肉眼よりははるかに多くの星が見えますし、大きく広がった星雲や、明るい星団・彗星の観察には、大きな見掛視界を持ち、広い視野が得られる双眼鏡が、望遠鏡より適することもあります。
星が見えにくい都市部の空でも、双眼鏡の効果は劇的です。何も見えないと思っていた夜空に双眼鏡を向けてみると、星たちの瞬きが見えることがあります。

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