ヘルスケア事業部

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2017年9月

健康・医療・バイオ分野における、既存事業の強化および新事業の創出・育成を加速させます。

執行役員 ヘルスケア事業部長
濱谷 正人

Q:新たにヘルスケア事業部長に就任されました。旧マイクロスコープ・ソリューション事業部、および旧メディカル事業推進本部の2017年3月期の総括をお聞かせください。

旧マイクロスコープ・ソリューション事業部においては、主力の生物顕微鏡の事業でシェアを伸ばしました。また、再生医療関連分野では、細胞の品質評価および細胞の受託生産という2つの事業を着実に進めることができました。

まず、生物顕微鏡の事業は、為替と米国の政府予算執行遅延の影響を受け、前期比で減収となりましたが、コスト改善で営業利益は前期を上回りました。営業力強化の施策によって、当初の目標通りにシェアを向上させることができ、トップまであと一息というところまできています。

再生医療関連分野については、まず、細胞の品質評価において、CiRA(京都大学iPS 細胞研究所)をはじめ、複数の大学・研究所と共同研究を進めています。長年にわたる顕微鏡観察技術と、最新のパターン認識技術を採用した画像解析技術の2つを用いて、「細胞の品質評価パッケージ」を開発し、すでに各種細胞の品質評価に利用されています。細胞の受託生産では、2015年に設立したニコン100%出資の株式会社ニコン・セル・イノベーションにおいて、提携先であるLonza社から、再生医療用細胞等の受託生産に関する技術やノウハウの取得に取り組みました。すでに「開発受託」を提供できる体制が予定通り構築できています。

旧メディカル事業推進本部においては、2015年に買収した、網膜画像診断機器企業であるOptos Plc (以下、Optos社)の事業を大きく飛躍させることに注力しました。その一環として、当社とOptos社は、Google Inc. の親会社であるAlphabet Inc. の傘下でライフサイエンス研究と技術開発を行うVerily Life Sciences LLC(以下、Verily 社)とMachine Learning(機械学習)活用ソリューション事業で提携しました。AIを活用した新たな技術やソリューションを共同開発し、糖尿病網膜症および糖尿病黄斑浮腫の早期発見・治療のための取り組みをスタートしています。眼科医・検眼医、糖尿病専門医などに対して簡易な診断ソリューションを提供することで、眼疾患の診断・治療の発展および、多くの患者の予後管理に貢献できると考えています。また、Optos社の超広角走査型レーザー検眼鏡は堅調に推移し、Optos社単体での営業利益率は20%に達しました。旧メディカル事業推進本部全体としてはビジネス拡大に向けた先行投資を行い、営業損失を計上していますが、計画通り推移しています。

Q ヘルスケア事業部の今後の展開についてお聞かせください。

2017年6月29日付けで2つの事業を統合しましたので、まずは組織および機能の統合・最適化を早期に実現し、事業シナジーの創出を図りたいと思います。

生物顕微鏡事業では、市場で新たな技術が次々と開発されますので、最新の研究トレンドをしっかりとおさえておく必要があります。単純に製品の性能を高めるだけではなく、研究者のニーズを的確に把握し、最適なソリューションを提供することが重要です。そのためにも、開発と営業が一体となってニーズの理解から製品、アプリケーション開発までを担当する体制を強化していきます。

再生医療関連分野では、2013年から出資し、協業によって支援を実施している株式会社ヘリオスと2017年2月に業務・資本提携契約を締結しました。ヘリオスは再生医薬品開発のフロントランナーであり、実用化の可能性が高い新薬候補を複数保有するバイオテクノロジー企業です。ニコンが取り組む細胞の品質評価と受託生産のノウハウを活用し、相乗効果を発揮していきたいと考えています。2018年3月期中にGMP*に準拠した生産施設を稼働し、細胞の「生産受託」を開始するニコン・セル・イノベーションにおいて、ヘリオスとの提携によって得られる幅広い事業機会は非常に有効です。

眼科診断領域では、成果を着実に積み上げていき、ある程度の基盤を構築した上で、新たな領域にも展開するということを基本方針として取り組んでいきます。Optos 社およびVerily 社との共同開発は2018年3月期も積極的に進めます。Optos社の超広角走査型レーザー検眼鏡で撮影した網膜の画像から疾患の有無、進行度合などをAIが評価・助言することで、眼科医・検眼医だけではなく糖尿病専門医などへも簡易な診断ソリューションを提供できるようになります。さらには、網膜は体の中で唯一血管を直接観察できる場所であることを活かして、高血圧や動脈硬化などの全身疾患を判定する開発にも取り組んでいきます。また、Optos社のビジネスはこれまで欧米が中心でしたが、それ以外の地域にも展開していきたいと考えています。世界的な高齢化、食生活の変化による糖尿病の増加を原因とした眼疾患の増加に伴い、眼科診断へのニーズが高まっており、着実な需要増を見込んでいます。

ヘルスケア事業は、ニコングループにおける成長事業として、構造改革期間中においても、しっかりと結果を出していかないといけません。旧マイクロスコープ・ソリューション事業と旧メディカル事業での相乗効果をしっかりと発揮し、新たな成長事業としていきたいと思います。責任は重いと感じていますが、非常にやりがいもありますので、人々のQOL(Quality of Life)の向上にニコンの技術で貢献していきます。

主要製品

生物顕微鏡/細胞培養観察装置/超広角走査型レーザー検眼鏡

ヘルスケア事業部