石川 直樹

写真家が自ら語る”5枚”の写真
  • 写真:石川 直樹 作品1
  • 写真:石川 直樹 作品2
  • 写真:石川 直樹 作品3
  • 写真:石川 直樹 作品4
  • 写真:石川 直樹 作品5

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作者による作品紹介

THE VOID

 写真はすべてニュージーランド北島にあるいくつかの森で撮影した。どの場所も先住民マオリの聖地として受け継がれる原生林である。
 はるか昔、マオリたちはカヌーを駆って、“ハヴァイキ”と呼ばれる伝説の島からやってきたと語り継がれている。太平洋島嶼部には、もともと海図やコンパスなどを用いず、星や風などの自然現象のみを頼りにカヌーを目的地に導く伝統航海術が存在し、それらの優れた技術と大型のカヌーによって、人々は広大な海を島から島へと自在に行き来していた。マオリの祖先もそうした航海民として海を渡り、ニュージーランドに移住してきたと言われている。
 長いあいだ受け継がれてきたそのような海洋文化だが、しかし、現在ではどの島でも森が減少し、カヌー作りの伝統さえも途絶えようとしている。航海の原点であるカヌーに興味をもち、原材料となる木を探して島々を渡り歩いていくうちに、ニュージーランドでマオリの古老と出会った。そして、カヌーが生まれる神聖な地として案内してもらったのが、これらの深い森である。
 原生林の奥へ入り込んでいくと、自分がどこへ向かっているのか、どこにいるかさえもわからなくなってしまう。「VOID」には、「空間」「無限」「すき間」といった意味があり、マオリの聖地は、そこを入口にしてどこへでも伝っていけるエアポケットとして、まさにそのような存在だと感じられた。
 人々を島へ導いたカヌーは、この森で生まれ、海を渡り、やがて朽ちて再び森へと還っていく。はじまりと終わりが繰り返されるこの土地の先には、島の過去と未来、そして島々を包む海へと繋がっている。このような場所の存在をほんの少しでもわかちあえたら嬉しい。

略歴 石川 直樹 ISHIKAWA, Naoki

  • 2006年

    さがみはら写真新人奨励賞

  • 2006年

    ニコンサロン三木淳賞

  • 2008年

    日本写真協会新人賞

  • 2008年

    講談社出版文化賞

  • 2009年

    東川賞新人作家賞

  • 2010年

    さがみはら写真賞

  • 2011年

    土門拳賞

1977年 東京生まれ
2005年 東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了
2008年 東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了

主な写真展

  • 2003年 「for circumpolar stars 極星に向かって」

    エプサイト(東京)

  • 2005年 「THE VOID」

    新宿ニコンサロン(東京)

  • 2006年 「THE VOID」

    大阪ニコンサロン(大阪)

  • 2007年 「POLAR」

    コニカミノルタプラザ(東京)

  • 2007年 「NEW DIMENSION」

    銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン(東京・大阪)

  • 2007年 「POLAR」

    SCAI THE BATHHOUSE(東京)

  • 2008年 「VERNACULAR」

    銀座INAXギャラリー(東京)

  • 2008年 「Mt.FUJI」

    銀座ニコンサロン(東京)

  • 2008年 「VERNACULAR」

    PLACE M(東京)

  • 2009年 「TRAVELOGUE 2000-2009」

    ミュゼふくおかカメラ館(富山)

  • 2009年 「Mt.FUJI」

    大阪ニコンサロン(大阪)

  • 2009年 「ARCHIPELAGO」

    中京大学Cスクエア(名古屋)

  • 2009年 「ARCHIPELAGO」

    キヤノンギャラリーS(東京)

  • 2010年 「ARCHIPELAGO」

    沖縄県立美術館(沖縄)

  • 2010年 「CORONA」

    PLACE M(東京)

  • 2011年 「8848」

    SCAI THE BATHHOUSE(東京)

主な写真集・著作など

  • 「POLE TO POLE 極圏を繋ぐ風」

    2003年 中央公論新社

  • 「THE VOID」

    2005年 ニーハイメディアジャパン

  • 「NEW DIMENSION」

    2007年 赤々舎

  • 「POLAR」

    2007年 リトルモア

  • 「Mt.Fuji」

    2008年 リトルモア

  • 「VERNACULAR」

    2008年 赤々舎

  • 「ARCHIPELAGO」

    2009年 集英社

  • 「CORONA」

    2010年 青土社

主なコレクション

  • 上海視覚芸術大学
  • 東京都現代美術館
  • 東京都写真美術館
  • 沖縄県立美術館
  • <文中敬称略>
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