WE LOVE NIKON interview07
Carol Guzy | フォトジャーナリスト、アメリカ在住

ジャーナリズム部門で史上初、
4度のピューリッツァー賞を受賞

ニコンだから人々の心を
揺さぶる作品を生み出せた

Carol Guzy Carol Guzy

Carolさんは、もっとも卓越した新聞報道をした人などに贈られるピューリッツァー賞を1度のみならず4度も受賞という偉大なる功績を残されています。受賞されたのはいつ、どのような作品でしょうか?

 私が最初に受賞したのは1986年で、コロンビアのネバド・デル・ルイス火山の噴火時に撮影した作品です。2度目は1995年に受賞したハイチの軍事介入の作品、3度目は2000年に受賞したコソボ難民の作品、4度目は2011年に受賞したハイチ地震の作品です。

ピューリッツァー賞を4度も受賞されたのは、史上初だとお聞きしています。

 ジャーナリズム部門では私だけのようですね。このようなすばらしい賞を4度もいただけたことはフォトジャーナリスト冥利につきますし、本当に光栄なことです。

受賞4作品は、いずれも新聞社に勤務されていたときのものでしょうか?

 そのとおりです。コロンビアの火山噴火時に撮影した写真のみマイアミ・ヘラルド紙時代のもので、それ以外はワシントン・ポスト紙時代のものです。取材は通常チームで動きますので、ハイチの軍事介入の写真以外はすべて元同僚とともに受賞しました。また、コソボ難民の写真以外の3つの受賞作は、すべてニコンカメラで撮影したものです。優れたカメラでなければ、このような写真は撮れなかったでしょう。ニコンカメラは耐久性に優れているため、自由のきかない厳しい環境下でも問題なく撮影することができました。

「ピューリッツァー賞(Pulitzer Prize)」とは

ピューリッツァー賞は、アメリカで発行された新聞、雑誌、オンラインのニュースサイトなどのジャーナリズム、文学や作曲の分野に贈られる、アメリカでもっとも権威のある賞です。ニューヨーク・ワールド紙など、新聞の発行人として活躍していた、Joseph Pulitzer氏により1917年に創設され、ニコンと同じく今年100周年を迎えました。現在は、ニューヨークのコロンビア大学が運営管理をしており、「速報写真」や「ローカルレポート」「ナショナルレポート」など21のカテゴリーで受賞者が決められ、毎年授与式が行われています。フォトジャーナリストとして活躍するCarol Guzyさんは、マイアミ・ヘラルド紙とワシントン・ポスト紙勤務時代に、ピューリッツァー賞のジャーナリズム部門で4度受賞という、史上初の功績を残しています。

photo

1986年に初めてピューリッツァー賞を受賞した、コロンビアのネバド・デル・ルイス火山噴火時の写真
Photo by Carol Guzy/The Miami Heral

photo

1995年 2度目に受賞した、ハイチの軍事介入の写真
Photo by Carol Guzy/The Washington Post

photo

2000年 3度目に受賞した、コソボ難民の写真
Photo by Carol Guzy/The Washington Post

photo

2011年 4度目に受賞した、ハイチ地震の写真
Photo by Carol Guzy/The Washington Post

photo

ピューリッツァー賞受賞時に授与された証書
(左上、右上、左下、右下の年代順)。
※ピューリッツァー賞のエントリーは最大20枚の写真で構成されます。
象徴的な1枚の写真がフォーカスされがちですが、すべての受賞作品は複数枚の写真で構成されています。

NPS(Nikon Professional Services)
はよりよい写真を撮るための
サポートをしてくれる

photo

Carolさんが撮影現場で長年使用しているプレスパスやバッグなど。

つい最近もハリケーン被災地に取材に行かれましたね。

 当初は、私の所属するエージェンシーに写真を提供するために現地に赴き、特別部隊で派遣された兵士とその家族の姿を取材しました。しかしNBCなどのメディアやNPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)からも撮影の依頼をいただき、1週間の滞在のつもりが2週間になり1ヵ月になり、一昨日まで現地にいました。

被災地に赴かれる際、カメラのほかに必要不可欠なギアといえば何でしょうか?

 状況によって異なりますが、通常は特定のサバイバルギアを持参します。紛争地域の取材では防護具やヘルメットが必要ですし、ハリケーンの取材では、ゴム製ブーツやカメラを雨風から守ってくれる防水加工のポンチョが必要不可欠です。備えあれば憂いなしだと思いますので、車のチャージャーやカメラのバッテリーなどは万が一のことを考えて多めに持っていきます。

photo

Carolさんが撮影現場で長年使用している
プレスパスやバッグなど。

カメラのサポートについてエピソードがあれば教えていただけますか?

 NPSにはいつも大変助けられています。カメラやレンズ、撮影機材で困っているとスタッフはすぐに駆けつけ、辛抱強く問題を解決してくれます。実は3年前に私の家族や親友が次々に亡くなり、同時に仕事も失ってしまいました。愛する人々すべてを失い、非常につらい時期でした。しかしそんなときに、NPSが機材の貸与や、カメラのクリーニングを引き受けてくださり、私を支えてくれました。こんな人生の低迷期に私をサポートしていただいたことへの感謝は、言葉で言い表せないほどです。このご恩は決して忘れません。ワシントンD.C.のスタッフの一人は、私の写真を小さいときから見て育ったと話してくださいました。これは私にとってとても名誉なことでした。また、私の挑戦を理解し、撮影を続けるよう提案してくれたことに心を打たれました。NPSは技術面やカメラに関するサポートに限らず、フォトジャーナリズムの発展のためにお手伝いをしたいという気持ちで接してくださいます。感謝してもしきれません。

nps

ニコンが約30カ国で展開している、プロフェッショナルフォトグラファーを対象にしたサポートやサービスを提供する会員組織です。NPS会員の皆様がより快適に撮影活動を遂行できるように、撮影機材の日常的なメンテナンスや修理に加え、国際的なイベントでのサービスデポ設置、運営をはじめ、さまざまな撮影現場でのサポート活動を行っています。

新しいキャリアは
ニコンとともに

photo photo

Carolさんが現在メインで使用している、D810(写真上段)とNIKKORレンズ(写真下段)。
ボディー: D810
レンズ:
AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II

長いキャリアを持たれていますが、初めて手にしたカメラは何でしたか?

 何十年も前のことですので最初の機種について記憶があいまいですが、地元ペンシルベニアの看護学校に通っていたときに、ボーイフレンドがプレゼントしてくれたのがカメラとの出会いです。写真を本格的に勉強しようと、フロリダのフォートローダーデール美術大学に通い、写真にのめり込みました。マイアミ・ヘラルド紙でのインターンシップ後、そのまま就職が決まり、そこでの経験がさらにワシントン・ポスト紙への道を切り拓いたのです。同紙で働いた1988年から2014年までの間、グラハム家が経営していたワシントン・ポスト紙のためにも、すべての作品に身も心も捧げました。ニコンはいつも私の旅(ジャーナリストとしてのキャリア)を支えてくださっています。

今使っているニコンカメラの機種は何でしょうか? またどういうところが気に入っていらっしゃるか、理由もお聞かせいただけますでしょうか?

 メインで使っているのはD810です。私がカメラを使うときはいつも決定的瞬間を捉えるために集中していますが、この大切なカメラは私の身体、つまり目、心、マインドの延長線上にあるものです。D810はまさしく私の身体の一部なのです。D810の機能で特に気に入っている点は、新しいピクチャーコントロールシステムにより、暗い中でも撮影が可能なことです。私は照明機材やスピードライトを使わないのですが、ニコンカメラは暗闇の中でもクリアで、色味豊かな、鮮明さのある瞬間を記録することを可能にしてくれます。

photo photo

Carolさんが現在メインで使用している、D810(写真上段)とNIKKORレンズ(写真下段)。
ボディー: D810
レンズ:
AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II

私の挑戦は、
カメラを通して被写体の物語を伝えること

photo

「よい作品とは?」との質問に「エンパシー (感情移入、共感)がキーワードです。深く感情移入できなければ、誰かの物語を伝えることはできません」とCarolさん。

現地での取材で、ほかに思い出深いエピソードがあれば教えていただけますか?

 取材が長いプロジェクトになり人々と深く関わらせていただくと、家族のような関係性になります。その昔、シエラレオネ内戦を取材したことがありました。当時4歳の少女は21歳になり現在ワシントンD.C.で暮らしていますが、彼女の養子先のファミリーが私をゴッドマザー(代母、後見人の女性)として選んでくださいました。とても光栄なことです。私が彼らの興味深い物語を記録することに心を開き、カメラを構えていないときや撮影プロジェクトが終了した後も、私との関係性を長く築いてくださっています。仕事を通して深い友情が生まれ、家族のようなすばらしい関係になっていると感じます。私は愛する家族や、親友を失ってしまいましたが、取材した人々から「私たちは家族よ」と声をかけていただくことがあり、人生捨てたものではないなと思います。このような関係性こそが、私にとってどんな写真よりも意味のあるものです。
 私たちジャーナリストは時に悲惨な場面を撮影しなければなりませんが、感情移入して感傷的になることを職場や社会は許してくれません。でも私は、悲しいときは泣けばいいと思っています。私たちはロボットではなく、心や感情を持った人間ですから。おそらく私の場合、感情移入することにより写真がよりよいものになっていると思います。私の挑戦は、カメラを通して被写体の物語を伝えることです。それは容易なことではないのですが、普遍的な人間の感情と私たちが共に生きるこのかよわい地球を理解するきっかけになるイメージをお見せすることが私の目標なのです。

photo

「よい作品とは?」との質問に「エンパシー (感情移入、共感)がキーワードです。深く感情移入できなければ、誰かの物語を伝えることはできません」とCarolさん。

ピューリッツァー賞受賞作について、一番心に残っている思い出やメッセージといえば何でしょうか?

 ハイチは私にとって第2の故郷と呼ぶに値する場所ですので、地震のときに多くの人々が亡くなっていく姿を目の当たりにして本当に辛かったです。
 写真の中の1枚に、カップルが手をつなぎあって焼け野原を歩いているものがあります。私たちジャーナリストは、被災地の壊滅的な状況を写真におさめるばかりで、希望を与えるような肯定的な反応や捉え方を忘れがちです。しかし、ひとしずくの希望が見えるその瞬間こそ、どの被災地にも共通して必要なものであり、復興の手助けとして私たちが人々に伝えなければならないものではないかと思います。

photo

ハイチ地震のときに撮影したカップルの写真。
「この希望こそが、人々に必要なのです」とCarolさん。
Photo by Carol Guzy/The Washington Post

創立100周年を迎えたニコンへメッセージ

100周年というのは大変意味深いことです。ニコンは長きにわたり、学生や私のようなプロの写真家をサポートしてくださっています。私自身、賞を獲得した作品はもちろん、それ以外の功績を生み出せたのも、ニコンのサポートがあってのことなのです。そして2017年、NPC(Nikon Photo Contest)に審査員として参加できたことは、とても光栄なことでした。私はニコンを家族のように思い慕っています。大変な時期を乗り越え、温かく私を包み込んでくれるニコンがいてくれたからこそ、プロとして新しい人生を歩み始められました。本当にありがとうございます。ニコンが長年にわたり、学生やプロの写真家、団体同様に、私をサポートしてくれていることを一生忘れることはありません。

Carol Guzy

Carol Guzyさん

所属団体:
Nikon Professional Services (NPS)
White House News Photographers Association
ASMP - American Society of Media Photographers
NPPA - National Press Photographers Association

Photo
NEWSEUMとニコン

Newseumは2008年にワシントンD.C.にオープンしたメディア専門の博物館で、オープン以来、700万人以上の来場者が訪れている大変人気のスポットです。館内には、ピューリッツァー賞写真ギャラリーも含む15のギャラリースペースと15のシアタースペースがあり、9/11アメリカ同時多発テロやベルリンの壁崩壊など、世界中で起こった事件や事故、歴史的なニュースの紹介や展示がされています。来場者は館内であたかもニュース番組の現場で働いているかのようなエキサイティングな体験をすることもできます。
そして2017年、ニコン、ピューリッツァー賞ともに100周年を迎えました。その節目として、またピューリッツァー賞受賞作品の多くがニコンのカメラで撮影されていることを記念し、Nikon Inc.はNewseumのピューリッツァー賞写真ギャラリーの唯一のスポンサー企業として参加しています。
ニコンカメラは数十年にわたり、フォトジャーナリストたちが歴史的瞬間を撮影する際に使用されてきました。ピューリッツァー賞写真ギャラリー内には、現代のカメラ開発過程がわかるように複数のニコンカメラが展示されています。Carolさんが1995年に2度目のピューリッツァー賞を受賞したハイチの軍事介入の作品で使用されたニコンカメラも展示されています。

Photo Photo Photo Photo
Nikon Photo Contest

「ニコン フォトコンテスト」は、「世界中の写真愛好家が、プロフェッショナルとアマチュアの枠を超えて交流できる場を提供し、写真文化の発展に貢献すること」を目的に、ニコンが開催している歴史ある国際写真コンテストです。1969年の第1回コンテスト開催以来、世界中の写真愛好家の支持を受け、世界各国・各地域からの累計応募者数は41万人を超え、累計応募作品総数は162万点に上るなど、国際色の豊かなコンテストとなっています。

WE LOVE NIKON
interview07 Carol Guzy | フォトジャーナリスト、アメリカ在住
rotate