WE LOVE NIKON interview04
Ashok Kandimalla | フォトコンサルタント、インド在住

ニコンは美しい精密機械だと思う

ニコンの美しさは
精度と信頼性の象徴

Ashok Kandimalla Ashok Kandimalla

Kandimallaさんは、長い間、IT企業でCTO(最高技術責任者)として活躍されていましたが、現在のフォトコンサルタントとして活動するにあたり、それまでのキャリアはどのように役立ちましたか?

 「フォトグラファーになるためにITの専門家になった」とさえ思えるほど、カメラと写真は私の人生において大きな位置を占めています。フォトコンサルタントとしてこうして活動できるのも、ITの知識が大いに役立っています。デジタルカメラの中身はコンピュータのようなものですから、これを理解するには、IT、すなわち情報技術の知識が大変役に立ちます。それに私は電子工学の専門家ですから、イメージセンサーや画像処理エンジンが、デジタルカメラの中でどのように働いているのかといった細かいところから、デジタルカメラの本質までを理解することができました。
 私がこれまで身につけてきた知識は、イベントやワークショップでカメラについて教えたり、雑誌に記事を書いたりするときに、大きな手助けとなっています。ITに関するキャリアは、写真を仕事にする上で、大きなアドバンテージになってくれました。そういった意味で、ITの専門家としてのキャリアも、フォトコンサルタントとしてのキャリアも、私にとっては同じくらい大切です。

写真の初心者に対して、はじめにどのようなことを教えていらっしゃいますか?

 デジタルカメラが登場してから、写真を趣味にする人が増えましたが、残念なことにカメラの基礎知識を理解している人はあまりいません。それが原因で、写真への興味をなくしてしまう人も少なくありません。私はそうした人たちにカメラの基礎知識を正しく教えることで、いつまでも写真を楽しんでいただきたいと思っています。
 もちろん私がニコンファンだということも、フォトコンサルタントを始めるモチベーションになっているのは間違いありません。デジタルカメラについてお話しするときは、いちばん身近な存在であるニコンのカメラを通して、写真の魅力を一人でも多くの人にお伝えしたいと思っています。

もしワークショップの参加者にニコン製品を薦めるとしたら、どのカメラとレンズを選びますか?

 お薦めしたいカメラとレンズの組み合わせは、とてもひとつには絞れません。その人が何を撮ろうとしているのか、写真に何を求めているかによって、組み合わせが異なるからです。
 例えば、風景やポートレートを撮りたいのなら、「D750」をお薦めします。写真の経験がある人だったら、「D810」がいいでしょう。レンズは24-120mmか、もしくは35㎜ f/1.8のような広角の単焦点レンズもいいですね。
 動物など生き物を撮る場合は、哺乳類なら80-400mm、鳥なら200-500mmの望遠ズームが欠かせません。以前、カメラは「D7200」を薦めていましたが、いまでは、DXフォーマットのフラッグシップモデルである「D500」をお薦めしています。
 初心者なら「D5000」系 から始めるのもいいでしょう。そういう人たちにも、ボケ味を生かして撮影でき、暗い場所でもきれいに撮れる35mm f/1.8や50mm f/1.8といった明るいレンズを試してもらいたいですね。

ニコンの好きなところは
信頼性と美しさ

ニコンの良さはどのようなところにあるとお考えですか?また、どこに魅力を感じていらっしゃいますか?

 ニコンのカメラの好きなところは信頼性の高さですね。「ニコンのカメラは壊れないから」と言って、ボディーを一台しか持たない友人もいます。私自身、長年使っていますが、ニコンのカメラはどんな状況でも安心して使えます。
 そして何と言ってもデザインが素晴らしい。ボタンの配置にしても、レバーやノブにしても、それぞれのパーツが人間工学的に非常によく考えられていると思います。さらに秀逸なのは、全体の形状、つまり外観デザインです。ニコンの最初の一眼レフカメラ、「ニコンF」の無駄のないクリーンなラインには、まるで優れた建築物のような美しさがあります。レンズを外すと、きれいに配置された三角、直線、正方形、円形などが見られます。とても美しいデザインで、見ているだけで楽しくなります。
 それにニコンのカメラは使い方を覚えるのも簡単です。ボタンの配置やメニューが整理されているので、とても分かりやすい。使われている用語にもブレがなく、新しい機種でも変わらないので、ひと目で操作方法がわかります。
 もちろん機能面でも非常に満足しています。高感度性能も高速性能も素晴らしい。そして、何と言っても、ずっと昔のレンズを2017年製のカメラボディーで使うことができるということ。これがニコンの魅力ですね。

お持ちのニコンカメラの中からベスト3をあげていただけますか?

 とても難しい質問ですね。性能面で感動したのは「D750」ですが、一番気に入っているのは1977年に発売された「ニコンF2フォトミックAS」です。このカメラとの出会いは、全くの偶然でした。あるカメラ店でこのカメラを売ろうとしている人にたまたま出くわして、一晩悩んで手に入れたのです。状態も非常によく、使ってみたら、まさに「素晴らしい」の一言でした。
 このカメラには、10秒までのスローシャッターが切れるメカニカルシャッターが付いています。これほどのスローシャッターで撮影できるのは、私の持っているカメラの中でも他に見当たりません。それにとても頑丈です。床に投げつけたらカメラではなく床が壊れ、ハンマーで叩いても大丈夫。もちろんこれは冗談ですが。
 その次にあげるとしたら「ニコンFE2」ですね。ひとつの製品が生産中止になると、新しい製品に乗り換える人が多いものですが、「ニコンFE2」が生産中止になったとき、多くのユーザーが諦めきれませんでした。私もその一人です。「ニコンFE2」はとてもシンプルで使いやすい、素晴らしい製品です。特にファインダー表示が素晴らしく、設定がひと目で確認できます。当時のフォトグラファーにとっては、待望の機能だったと思います。

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メカニカルシャッターに
こだわる理由、
それは私がエンジニアだから

Kandimallaさんは、ニコンのコレクターとして、メカニカルシャッターを搭載している機種にこだわって集めていらっしゃるそうですね。それにはどのような理由があるのですか?

 メカニカルシャッターにこだわったのは、私がエンジニアだったからです。エンジニアの中には、精密に設計された機械に魅力を感じている人が多く、私もそうでした。そのころ巡り合ったのがカメラという精密機械です。なかでもニコンのメカニカルシャッターを搭載しているカメラの精度の高さ、精密さに心を奪われました。そこで私は、メカニカルシャッター付きの機種すべてを集めることにしたんです。インターネットのオークションも利用しましたし、アメリカの店も訪ねました。すべてを揃えるのに15~20年ほどかかりましたが、いまではとても満足しています。

Nikon FM2

ニコンのカメラを収集する過程で、印象に残っている出来事はありますか?

 2000年に発売された「ニコンFM2」の限定モデルはどうしても欲しかったので、入手するためにあらゆる手を尽くしました。同じシリアル番号が刻まれた、ボディーとレンズがセットになっているものです。とにかくこの限定のセットを探し回りました。インドに輸入されていないモデルだったので、あらゆるところを訪ね、ようやく探し当てたのは2カ月後。かなり高額でしたが気になりませんでした。このカメラを手に入れるのが最も難しかったですね。

Nikon FM2

2000年に香港で2000台限定販売された
「ニコンFM2キット ミレニアムエディション」

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今後、ニコンに対して、どのようなことを期待されますか?また、どのような製品を望まれますか?

 とにかくFXフォーマットのミラーレスが欲しくて待ち続けています。これは多くの人から要望があるのではないでしょうか。それから、ストリートスナップ用のレンズ性能の高いコンパクトカメラ。センサーがDXフォーマットくらい大きいと嬉しいですね。

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創立100周年を迎えるニコンへメッセージ

こうした場で言葉を述べさせていただけるのは身に余る光栄です。ニコンはこれまで、信頼や高い評価を得るために計り知れないほどの努力を重ねてきたと思います。これからも同じように私たちユーザーのためにも、カメラ業界の発展のためにも、その努力を続けてくれることと信じています。ニコンのさらなる発展を心からお祈りしています。最後にこれは私からのお願いです。ぜひ、新しいミラーレスカメラを作ってください。そして、古くからのユーザーのことも忘れないでください。みんな、古いレンズを最新のボディーで楽しんでみたいのです。(取材日:2017年3月)

Ashok Kandimalla

Ashok Kandimallaさん

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