WE LOVE NIKON interview02
Gray Levett | Grays of Westminster オーナー、イギリス在住

ニコンで紋章という栄誉を得ました

カメラ店として
世界で初めて紋章を授与された
ニコン専門店

Gray Levett

Levettさんが、ニコン専門店として世界的に有名なGrays of Westminster(グレイズ・オブ・ウェストミンスター)をロンドンで始められてから30年以上になると伺っています。Grays of Westminsterについてご紹介いただけますか?

 Grays of Westminsterは、ニコン製品だけを扱うニコン専門店です。ニコンの最新カメラ、レンズ、アクセサリーから、ビンテージのクラッシックモデル、中古製品まで幅広く取り扱っています。32年前から今日まで、ニコン製品だけをどこにも負けないサービスで販売してきました。現在では世界中で47,000人ものニコンを愛するお客様からご愛顧いただいています。
 2014年には私どもの実績が、女王陛下直属の紋章院に認められ、カメラ店としては世界で初めて紋章をいただくこととができました。個人の店に紋章が授与されるということは、大変光栄なことです。私をはじめ多くの方が愛するニコン製品が特別な栄誉を授かり認められたことに、とても感動しました。紋章には“Lead in Order to Serve(すべてはお客様のために)”というモットーが記されています。紋章を目にするたびに、他では決して真似できない最高のサービスをお客様にご提供することを心に刻んでいます。

Gray Levett

紋章の上部に描かれているのは、Gray Levettさんを象徴的に表すライオンが日本の国鳥であるキジと友好的に交流している姿。ライオンの右の足元にはレンズが描かれています。中央にはニコン専門店というインスピレーションを与えてくれたクリスマスローズをはじめ、日本とGrays of Westminsterとのさまざまなつながりを象徴する花々が描かれ、背後にある太陽の光線は写真を表現しています。

ニコン専門店を開こうと思ったきっかけをお聞かせください。

 開店当初はごく普通のカメラ店だったのですが、不況のため写真業界もあまり芳しい状況ではなく、思いきった方向転換が必要だと考えていました。
 1991年7月のとても暑いある日、買い物客であふれかえっているクリスマス商品を専門に扱うクリスマスショップを見かけました。不景気のうえ季節外れにもかかわらず繁盛しているその店を見て衝撃を受けた私に、ひとつの考えがひらめいたのです。「1年のうちたった3週間しか使わないものを売って成功している店があるのなら、私の愛するニコンだけを扱う店でも成功できるはず」と。当時、私の知る限り、世界中のどこにもニコン専門店は存在しませんでした。そこで、常々ニコンの優れた技術と高い品質に惹かれていた私は、ニコンを専門的に扱う店にGrays of Westminsterを生まれ変わらせ、再出発することにしたのです。
 紋章の真ん中に描かれている花のひとつはクリスマスローズで、ニコン専門店というインスピレーションを与えてくれたクリスマスショップを表しています。

紋章の上部に描かれているのは、Gray Levettさんを象徴的に表すライオンが日本の国鳥であるキジと友好的に交流している姿。ライオンの右の足元にはレンズが描かれています。中央にはニコン専門店というインスピレーションを与えてくれたクリスマスローズをはじめ、日本とGrays of Westminsterとのさまざまなつながりを象徴する花々が描かれ、背後にある太陽の光線は写真を表現しています。

紋章院から授与された紋章と特許状

紋章は、家系や組織を示す意匠として、個人または団体に授与されるものです。この栄誉を受けるには、英国における紋章の授与を担う紋章院によって、業績をはじめとする厳しい審査を受ける必要があります。数カ月におよぶ審査の後、紋章院総裁による承認が得られてはじめて、紋章のデザインを創るための作業に入ることができます。紋章のデザインは、歴史的に定められたルールに従って作成されますが、他に同じデザインのものがあってはならず、業界での役割を明示するものでなくてはなりません。紋章官は、イメージや要望を聞き取り、納得できるデザインに仕上げるために検討を重ねながら、およそ1年をかけて完成させます。完成した紋章には彩色、装飾が施され、使用を許可する特許状とともに受領者に与えられます。

技術と品質へのこだわりは
今も昔も変わらない

お店を始める以前からニコンに惹かれていたということですが、ニコンのカメラを初めて手にされたのはいつですか?また、初めて手にされたときの感触はどのようなものでしたか?

 そのときのことは鮮明に覚えています。あるカメラ店で働いていた1960年代の終り頃、お客様から、ご自身のカメラについての質問をいただきました。それは、モータードライブF-36を装着した、黒の「ニコンフォトミックFTN」で、これがニコンとの初めての出会いでした。素晴らしい光学技術が施された、気品あふれるその姿に、いつか絶対に「ニコンF」を手に入れると決心したのです。

ニコンカメラの魅力は何だと思われますか?

 ニコンカメラの魅力のひとつは、1959年に一眼レフカメラを発売してから今日まで、オリジナルのFマウントを変えていないことです。これまで何度も変更する選択があったにもかかわらず、ニコンはFマウントにこだわりました。このおかげで、「Df」にも、非Ai NIKKORレンズを装着して撮影できるということは、素晴らしいことです。ニコンのカメラはどれもとても精巧に作られていますし、ニッコールレンズの優れた光学性能には、ニコンの革新的な技術が反映されています。映画業界では今でもニコンのマニュアルフォーカスレンズを最新のハイビジョンカメラに取り付けて撮影することがありますので、この種のレンズをよくご購入いただいています。

お持ちのニコンカメラの中から、ベスト3をあげていただけますか?

 ひとつめは、Nikkor-S Auto 5.8cm F1.4を装着したモータードライブF-36付きの「ニコンF」です。「ニコンF」は、ニコンカメラの中で最も象徴的な35㎜カメラだと思います。ニコンはこのカメラを、デザインにおいても、システムにおいても、パーフェクトに創り上げたのではないでしょうか。1961年頃の広告のキャッチコピー「The Man With a Nikon F is Master Of All He Surveys(ニコンFを持つ者は、見るものすべてを支配する)」は、インパクトがありましたね。フォトグラファーたちの心を鷲掴みにしました。
 2つめはやはり、ニコンのレンジファインダーカメラにおける最高峰と言える「ニコンSP」ですね。28mmから135mmまでの6種類のレンズに対応するユニバーサルファインダーを内蔵した、当時としては革新的なカメラで、発売されると同時にセンセーションを巻き起こしました。
 3つめは、データが写し込める「ニコンF2 DATA」と呼ばれているカメラです。日付や時刻に加え、手書きメモまでフィルムに記録できるので、科学や工業の現場でも使用されました。今では、非常に希少なモデルとして知られています。

Levettさんが、現在、よくお使いになっているカメラを教えていただけますか?

 個人的に気に入っていてよく使うのは「D810」と「D500」ですね。街や、そこで暮らす人々などをスナップ撮影しています。撮影しながらいつも感じているのは、デジタルカメラの時代になっても、すべてのニコン製品には、ニコンカメラの原点である「ニコンⅠ型」から脈々と流れる革新的な技術と品質へのこだわりが変わらず反映されているということです。

Camera collections Gray Levett

ニコンが私を世界中の
人々につなげてくれた

ニコン製品を販売してきた歴史の中で、思い出深いストーリーをお聞かせいただけますか?

 そういう話ならたくさんあります。あるとき、注文を受けていたカメラの到着が遅れて、翌日そのカメラを必要とされていたお客様に発送ができなくなってしまいました。そこでスタッフが電車で往復8時間かけてお客様を訪ね、カメラを手渡ししました。そのお客様からは「新しいカメラをお届けいただいたことに改めてお礼申し上げます。私はこれまで、これほどまでに素晴らしいサービスを受けたことがありませんでした。さらに驚かされたのは、カメラを届けてくださったスタッフの方が普段から行っているサービスであるかのように振る舞っていたことでした。このたびの並々ならぬご尽力に心から感謝いたします」というお手紙をいただき、とても感激しました。

カメラ店を開かれる前はハリウッドでフォトグラファーとして活躍されていたとお聞きしましたが、その頃に築いたつながりや経験は今日のビジネスに影響を与えていますか?

 ハリウッドでは、雑誌や本の表紙を飾る、俳優やミュージシャンのポートレートをよく撮影していました。仕事を通じて多くの映画人や音楽業界の人と知り合いになり、とても貴重な体験ができました。
 Grays of Westminsterを開いて間もないころから長い間、今は亡きスタンリー・キューブリック監督にお客様としてお付き合いいただいたことは、とても幸運でした。私どものお客様には、実にさまざまな業界の方がいらっしゃいます。映画スター、ロックスター、映画監督、脚本家、ライター、政治家、会社役員、そして時には王族の方々にもお越しいただいています。これはニコンが多くの方に愛されているという証しでもあります。

ニコンユーザー向けの雑誌を出版されていますが、編集者として面白いと感じるのはどのようなことですか?

 新たな才能を発掘することですね。自分が見出したフォトグラファーに作品を発表する場を提供できることは幸せです。
 この雑誌は、写真の紹介、最新のニコン製品や技術など、ニコンに関するさまざまな情報が網羅されています。ニコンへの理解や興味を広げるだけでなく、この雑誌がニコンユーザーをつなぐ場となっていることも嬉しいですね。
 長期にわたってご愛読いただいている世界中の読者から、ニコンに対してたくさんの好意的なご意見やご感想をいただきます。雑誌づくりを通して感じているのは、ニコンは、カメラやレンズだけではなく、その歴史にまでにも熱烈な支持者がいるブランドだということです。もちろん、その熱烈な支持者の一人がこの私です。

Gray Levett Camera collections
Gray Levett

創立100周年を迎えるニコンへメッセージ

企業にとって100周年を迎えるということは、とても素晴らしいことです。ニコンは、歴史的な数々の瞬間を捉えた製品を作り続けてきました。NASAが宇宙に行くために選んだのもニコンでした。その後何度にもわたる宇宙でのミッションに、ニコンは多くのカメラを送り出してきました。そこには常に、ものづくりへの情熱とこだわりがあり、それはいまでもニコンという企業のDNAとして受け継がれています。そんなニコンに、少しでも関われてきたことを誇らしく、また光栄に思っています。100歳、本当に本当におめでとうございます。

Gray Levett

Gray Levettさん

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